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経営部門特別賞
1万kgへの道のり
中島さん
中島薫さん(左)と奥様の綾子さん
地域の概要

 中島薫氏の住む武雄市は佐賀県の西部に位置し、佐賀市より西へ35kmに立地しています。市の総面積は127平方キロメートル、耕地面積2,250ha、このうち約80%が水田となっています。 
 武雄市の農業の粗生産額は約50億円。そのうち耕種部門が64%を占めており、畜産は36%の18億円程度で、酪農は4.2%の2億1千万円の割合となっています。 
 武雄市は昔から温泉宿として親しまれている「武雄温泉」があり、九州はもとより遠くは関西、四国方面からの観光客で賑わう街です。 

経営の概要

 中島氏の酪農経営は、水田4ha程度(借地2,5ha)での水稲、麦等との複合経営で営まれており、水田を飼料作物栽培の基盤とする水田酪農の形態として、本県でも数少ない存在です。経営規模は、経産牛頭数30頭程度と県の平均的規模であり、労働力は本人と奥さん、父親の3人で年間12日のヘルパーを利用し、経産牛1頭当たりの労働時間は年間137時間で、1人1日当たり6時間程度と比較的ゆとりを持った経営がなされています。  

経営改善への取り組み

 個体能力を向上させるため、牛群検定に参加して選抜淘汰を実施し、系統としては千葉のチュンキー、北海道のサニーローン、米国のグリーバンフスの3系統に絞り改良を推進。結果として、経産牛1頭あたり9,000kg台の乳量を生産するようになりました。 
 自給飼料の生産にも積極的に取り組み、しかも低コスト生産と省力化を図るため昭和55年には機械利用組合も組織しラップサイレージ方式の一貫作業体系の機械を導入。TDN1kg当たり56円の生産原価での生産を実現しました。 
 管理労力の省力化と飼養牛の健康管理を図るため、平成4年には他の酪農家に先駆けてフリーストール牛舎を建設。乳牛のストレス防止と、運動量の増加によって肢蹄の強化と耐用年数の延長に取り組みました。 
 飼料給与においては、TMR方式を採用することにより、以前の個体分離給与方式時と比較して食い込みが良くなったほか、消化器系の病気が減少し泌乳能力も向上しました。  

今後の改善計画

 頭数規模は、現在の経産牛30頭程度を維持する少数精鋭主義を守り、乳量がコンスタントに10,000kgを出せる牛群の改良に努めていきます。 
 労働力は現在でもかなりゆとりがあるものの、さらに省力化を図ることと衛生面を考慮して、旧牛舎のパイプライン利用の搾乳をアブレスト方式等の簡易搾乳施設へ改修したり、月1回のヘルパーを2回程度まで増やすといったゆとりのある経営で後継者が喜んで酪農に従事できる体制の整備を図っています。 
 昭和52年から青色申告を実施し、さらに経営管理、牛群管理等をパソコンの利用によって記帳、集計、分析を行い経営改善に努めています。