畜産経営における労働負担の軽減や生産性の向上等に向けて、ITやAI(人工知能)技術を活用した、畜産のデジタルトランスフォーメーション(畜産DX)を畜産経営の現場で推進することは、時代の大きな流れと言えます。
しかし、畜産におけるDX技術の導入は始まったばかりのため、妥当な判断基準がないまま投資が進むと、固定化負債の発生など、経営的に課題を抱える経営を生み出しかねない危険性があります。
また、わが国の畜産生産の大宗を占める家族経営では、家族労働費を含めた「所得」概念が経済性を判断する基準であることから、畜産におけるDX技術の推進のためには、「所得」概念に沿った経済的指標と投資の妥当性判断の手法を開発し、経営者と支援者に分かりやすく提示することが必要となります。
そこで本事業は、JRA日本中央競馬会からの助成をうけて、令和3年度から3カ年事業として本ガイドブックに事例紹介されている7県の畜産協会とタッグを組んで、畜産DX技術の実証・調査分析事業を実施し、畜産DX技術の導入が労働負担軽減や所得向上に与える効果を調査分析し、その導入効果を評価することにより、家族経営における畜産DXの推進を図り、魅力ある家族経営の育成に資する目的で実施してきました。