SUFFA国際食肉加工品コンテスト金賞受賞
親子が生んだ最高評価のソーセージ


 低調な豚価、輸入物の攻勢、ふん尿処理対策−と養豚を取巻く環境は21世紀に入っても変わらないどころか、一段と厳しいものになりそうだ。このため、いかに生産物である豚肉の付加価値を高めていくかがこれからの養豚経営の大きなポイントといわれており、とりわけ家族経営は規模拡大によるコストダウンが難しいだけに、その成否が存続の決め手とさえいえる。こうした中で、親子の連係プレーにより良質な豚肉づくりを追求するとともに、それを原料としたハム・ソーセージなどの食肉加工に取組んでいるのが(有)真木沢ミートピアだ。

 東京から東北新幹線で約3時間の岩手県北上市。米とりんごが主要産物の農村地帯だが、最近では東北自動車道など交通アクセスもよいことから、工場進出も相次いでいる。この北上市内から三陸海岸に向かう国道107号線を車で20分ほど走ると、国道沿いにウッドテラスつきのレストラン風の建物が現われる。真木沢ミートピアの加工場兼売場だ。

 約600坪の敷地に100坪の建物(平屋)。建物の前はパーキングスペースになっており、大型観光バス数台が駐車できる広さ。ほぼ左半分が加工場および事務所、右半分が売場と手造りソーセージ体験工房という配置。売場にはできたてのソーセージ類、ハム・ベーコンなど約20アイテムのほか、岩手県産ひとめぼれ米粉使用の「ひとめぼれうどん」「すいとん粉」、地ビール「北上わっかビール」、焼き肉のタレなど関連商品を陳列、販売する。

 売場の隣はテーブルと椅子を置いたオープンスペースで、買い物客にはコーヒーを無料でサービス。4月から11月まではハム・ソーセージを中心にしたオードブルとビールなどちょっとした軽食も提供する。売場の奥が手作りソーセージ体験コーナーで、前日までに申し込めば90分で約20種類のスパイスを自分で配合した腸詰めづくりを楽しむことができる。

 ハム・ソーセージ加工場は約30坪のスペース。ソーセージ細切用のカッター、真空スタッファー(充填機)、チョッパー(肉挽機)、スモークハウス、真空包装機などドイツ製を中心とした新鋭加工機器を装備。食品衛生法に基づく「食肉製品製造業」の営業許可を取得した正式のハム・ソーセージ工場だ。パートタイマーを含め6人のスタッフが1週間あたり5〜10頭分の豚肉を加工する。

 真木沢ミートピアは、もともとは養豚専業農家。社長である昆野先夫さん夫妻が昭和30年代中半に養豚を開始、40年近い経験をもつ。現在、母豚(シムコのSPF)100頭の一貫経営で、「細かな気配りを重視する飼養管理により、高成績かつ良質の豚肉づくりをめざす」(社長)。

 そのポイントは大麦を配合した飼料と飲み水にあるようだ。特に飲み水「生命活性化水」は、“魔法の水”。母豚の尿とミネラルと水を混合、約1ヵ月漠気処理、それを希釈して飲み水として給与するもの。科学的なメカニズムは不明ながら飼料の食い込みが良く、健康に育つという。

 SEP(流行性肺炎)やマイコプラズマ病は導入した平成8年10月以降、ほとんど発生しなくなり、薬剤はワクチン以外ほとんど使用していない。導入前の平成7年の事故率は6.2%だったが平成12年には0.6%に減少、上物率も平成7年52.5%が平成12年69.9%に上昇といいことずくめ。そして、何よりも肉になった時、豚独特の臭みがなくなったのが大きな特徴という。

 質の良い豚肉づくりを追求する一方で、「これまでの経験を生かした形で息子に引き継ぎたいと考えてたどりついたのがハム・ソーセージ加工だった」(社長)という。

 二男の修さん(現専務)は高校卒業後、岩手県内の食肉加工場およびドイツの食肉店で約2年間本格的な加工技術を習得。帰国後、兵庫と青森で経験を重ねた。そして加工場が完成したのが平成3年8月。初期投資は土地代別で3300万円。その後平成8年に売場と体験工房を増築したほか、加工機器を増強したため、投資総額は1億円近くになるようだ。

 父親がつくった豚肉を原料に息子が加工するわけだが、原料が新鮮で豚の臭みがないため添加物が少ない加工が同社の特徴で、「この肉があってこそ真木沢ミートピアの加工品が成り立つ」(専務)という。まさに親子の連係プレーといえる。

 ちなみに製法の基本はドイツで習得した技術で、ドイツから取り寄せた岩塩、スパイスを使用。単味品の場合、2〜3週間は漬込む。ただし塩分含量、スパイスの配合は日本人に合うようにアレンジしている。

 平成11年、第三者の製品の評価を得るためドイツ・シュトゥットガルトで開かれた「SUFFA国際食肉加工品コンテスト」に出品した。2アイテム出品のうち1品(プレーンウインナー)が金賞、もう1品も銅賞を受賞。さらにドイツ国内のマイスターを対象にした品質規格の審査も受けたところ、満点で合格した。この審査は加工技術のほか、アミノ酸や結合組織の量もチェックされるもので、「加工技術と豚肉の両方が認められ、非常にうれしい」(専務)と喜ぶ。

 肉豚出荷2400頭(年間)のうち加工場仕向けは350頭。このうち80頭は精肉で販売されるため、加工原料として使われるのは270頭。加工場の能力は1週30頭とまだ余力があるので、もう少し生産量を増やすのが、現在の大きな課題だ。このため販売量の拡大が急務となる。

 現状は、レストランや居酒屋などフードサービス向けへの販売が7割、残りが直売店だが、販売力のある小売店と手を組みたい意向。同時に地元での販売も強化していく方針で、「近い将来、北上市内に小規模加工施設を併設した直売店を出店、普段のおかずになるような商品を提供していきたい」(専務)と意欲的。平成13年の加工部門の売上高は8000万円の見込みだが、平成14年の目標1億円達成は射程距離に入りつつあるようだ。



本記事は、畜産コンサルタント2001年3月号にも掲載されています。
※情報は掲載当時のものです。