HACCPシステム導入、ISO9002認証取得で
最高水準の衛生管理・品質保証システムを構築
―福岡市中央卸売市場臨海市場―


 九州で唯一の中央卸売市場として40年の歴史を刻む福岡の食肉市場が移転・新設され、平成12年4月から「福岡市中央卸売市場臨海市場」の名称で新たなスタートを切っているが、同年10月には品質保証の国際規格ISO9000シリーズの認証を取得した。この取得は食肉市場としては全国初のものだ。HACCP(危害分析重要管理点)方式による衛生管理に加えて、トータルで品質管理・補償するISO9000シリーズの認証取得により、世界レベルの衛生的な食肉処理システムが整ったといえる。

 博多湾に臨む福岡市東区東浜2-85-14に建設された臨海市場は、4.2haの敷地に、おもに牛、豚のと畜・解体、取引き(セリ)、部分肉加工が行われる本館棟(鉄骨一部3階建て、延べ床面積1万5540u)、管理業務を行う管理厚生棟(鉄骨3階建て、同3191u)のほか、排水処理施設、飲適化設備、LNG(液化天然ガス)冷熱棟などで構成、総事業費は用地を含め152億6000万円が投じられた。

 施設能力は、家畜の繋留が牛200頭、豚600頭、解体処理が牛120頭、豚450頭(いずれも1日当り)で、食肉市場としては中程度の規模だが、同市場の最大の特徴は「衛生」にある。

O―157問題を契機に改正されたと畜場法、同施行規則および厚生省のと畜場施設・設備のガイドラインなど新たな衛生基準に適合しているのはもちろんだが、「新市場整備にあたって最も重視したのが衛生だ。農場からテーブルまで安全で衛生的なおいしい食肉を届けるために最新の機器を備えるとともに、世界レベルの品質管理システムを導入した」(花田眞也場長)という。

 その代表的なものがワンフロア・ワンウェイの生産ラインとHACCP方式による衛生管理の導入だ。本館棟は東西約200m、南北70mの長方形。生体搬入口から繋留所、と畜・解体室、冷却保管室、下見室、枝肉冷蔵庫、部分肉加工室、仕分け室、枝肉・製品出荷バースまでの設備・施設が同じフロアに、ほぼ東西に一直線でライン化されている。

牛と豚の生産ラインは中央のサニタリーエリアを挾んで完全分離。解体から冷却、セリまでの各作業工程に自動搬送装置が作動する。こうした設計は「ライン上での交差汚染を防止し、同時に作業の効率化、安全性の確保をもねらった」(同市場衛生管理担当の戸越剛主査)もの。

 更に、汚染度の高いと畜解体ラインの皮はぎ工程までをダーティーゾーン、それ以降をクリーンゾーンに区分。ゾーンごとに床や壁の一部、作業着を色分けし、作業員やと体・枝肉の逆流がないよう明確化している点も特筆される。

 こうした施設・設備は市場開設者の福岡市が設備したが、運営管理は卸売会社の福岡食肉市場鰍ェ担当する方式。この「公設民営方式」は食肉市場では全国初のケースでもある。  市と卸売会社の連携によりHACCP方式による衛生管理を導入、実施しているわけだが、衛生管理のチェックポイントだけで34ヵ所もある。このうちCCP(重要管理点)としては洗浄用電解水の残留塩素、枝肉の芯温、部分肉加工室の金属探知器の3ヵ所を設定。 これらのCCPは連続測定や目視によって始業前、作業中に監視するほか、パソコンで記録変化やメモリー蓄積を行う温度管理はプリントアウトして常時モニタリングする。  HACCPの導入にあたっては、一般衛生管理マニュアルを策定。各作業工程をはじめ、清掃や施設管理方法もすべてマニュアル化し、それに基づき作業者の教育、検査機器の管理、チェックシートの作成などが行われる。チェックシートに毎日記録して1年間保管する仕組みとなっている。

 HACCP方式による衛生管理と並行して、消費者に安全で高品質な食肉を提供するためにこのほど取得したのがISO9000シリーズ。ISOとはスイス・ジュネーブに本部をおく国際機関・国際標準化機構の略で、その名が示すとおり国際標準を取決める組織だ。

福岡食肉市場鰍ヘ平成11年10月に社内にISO推進室を設置、認証取得を目指してきたが、平成12年10月4〜6日に、認証機関の(財)日本品質保証機構による本審査を受けて合格したもの。9000シリーズのうち管理運営上の規格である9002を取得したが、これは「品質を管理する仕組みを備えた会社であることが国際的に認定された」(深川勉・ISO推進室長)ことになる。

 前述のように食肉市場としては初の取得となるため、同市場では「取得が生産者や買参者の信頼をより深めることにつながり、更に他市場との差別化ポイントとして積極的に訴求、福岡市場のブランド化を確立していきたい」(古田雄二専務)と期待をかける。

 情報機能の充実も同市場の売り=B生体搬入から枝肉・部分肉の出荷衛生検査の結果まで市場内情報を一元化した場内LAN(総合情報通信網)を整備している。

120インチの大型マルチビジョンによる画像セリシステムは全国初の導入。これらの最先端情報システムを利用してリアルタイムに情報を提供していくが、将来的にはインターネットによるバーチャル(仮想)市場も計画しており、食肉市場におけるIT革命に先べんをつける先進的な市場になりそうだ。(関連記事本文二五頁参照)



本記事は、畜産コンサルタント2000年11月号にも掲載されています。
※情報は掲載当時のものです。