中山間地域の湿田にも有効!!
効率的な飼料イネの収穫調製機械
―栃木県西那須野町・農水省草地試験場―


 食料・農業・農村基本計画では、食料自給率の向上のためには、飼料の増産が必須の課題となっている。

 わが国の畜産は、飼料の多くを海外に依存しており、その輸入量は、飼料用穀物が年間2400万t、飼料用乾草は152万tに及ぶ。その一方で、稲作は消費の減少や貿易協定などの諸要因から減反を余儀なくされ、平成12年度の減反耕地面積は96万haで、うち飼料作物等の転作面積は40万ha前後あるものの、その多くの土地は軟弱で排水が悪く、湿害等の影響で他作目の安定した栽培が困難な状況にある。

 そこで、農林水産省草地試験場で開催された平成12年度草地飼料作関係問題研究会(主催:農林水産省草地試験場)で実演された排水不良田でも安定して効果的な飼料イネの収穫作業ができる自走式カッティングベーラーと自走式ベールラッパーの機械化体系を紹介する。

 この技術開発を行ったのは、三重県科学技術振興センター農業技術センター畜産部(実演:浦川修司主任研究員)で、飼料イネをホールクロップサイレージにして、牛の飼料として活用することにより、排水の悪い中山間地域の遊休地、耕作放棄田等の小規模で軟弱な水田でも機械化体系が確立できるように開発されたもので、飼料イネの普及定着を図ることをねらいとしている。なお本機は既に平成12年から農機具メーカーの潟^カキタより実用機が市販されている。

 実演された自走式カッティングベーラーはイネを刈取りながら細かく裁断し、ロールにする機械で、五条刈りの自脱型コンバインをベース機とし、自脱型コンバインの走行部、刈取り部、搬送部をそのまま利用し、脱穀部の代りにディスクカッターおよび直径1mの定型式ロールベール装置が搭載されている、自走式ダイレクトカット方式のロールベーラーである。

 刈取ったイネは自脱型コンバインの作業と同様に刈取り・搬送され、その後、チャンバ前部に取付けたディスクカッターで15pに裁断され、均平化されながらロールを成形する仕組み。イネの刈取りからロール成形までの作業は自脱式コンバインと同様の操作で行うことができる。また、ディスクカッターがイネを裁断した後に成形するため梱包密度が高く良質なサイレージ調整が期待でき、調製されたロールは結束材を取外すだけで解体、家畜への給与も容易にできる。本機を用いて成形した飼料イネの梱包重量は約250s(水分60%前後)で、収穫作業時間はラッピング込みで10a当り約25分で完了できる。

 また、収穫したロールベールをラッピングするためのベールラッパーは、カッティングベーラー同様に軟弱な水田でも対応できるように走行部にキャタピラを使用した自走式で、ラッピングは圃場に放出されたロールを拾上げてラップする方式とロール表面の濡れや土砂の混入を防ぐため、ベーラーからのダイレクトキャッチでラップする方式の二方式の使分けが可能となっている。この方式により良質なサイレージ調製を可能としている。

 そして、本機はリフト機能を搭載しており、ラップしたロールベールを運搬車に積込む作業も容易にでき、そのため搬出に必要であったグリッパを利用する必要がなく、単独での作業が可能となっており、ベーラーと組合わせた同一方向での省力的な作業体系を確立している。

 今回の研究会では、飼料イネの普及に向けての問題点について検討が行われ、耕種との連携や給与方法等の諸課題が明らかとなった。飼料自給率の向上、畜産経営の安定、そして水田の保全と生産力の向上のために、今後の普及体制の確立が期待される。




本記事は、畜産コンサルタント2000年10月号にも掲載されています。
※情報は掲載当時のものです。