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エンジョイらいふ 地元小学校での子豚の飼育を支援する
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子豚が学校にやってきた (写真提供:真壁繁樹)

子豚にブラシをかける(写真提供:真壁繁樹)
子豚を育てる小学校
飼育を通して、心を豊かにし、循環型社会を考える
東京都立川市立西砂小学校

 西砂小学校(真壁繁樹校長:児童数460人)では、心を豊かにし、家畜がいてこそ成り立つ循環型の社会を考えていこうと、子どもたちが子豚を育てることになりました。

 昨年(2000年)の二学期の最初から2匹の子豚を学校に迎えようと、夏休みの間に真壁校長と用務主事が豚の小屋をつくったり、給餌器を用意したりと準備を始めました。3年生以上を対象とした子豚の「お世話係」の募集には、すでに40人もの子どもたちが集まっていました。
 9月7日、いよいよ12kgの小さな子豚が学校にやってきました。子どもたちはエサや水をやったり、ブラシをかけたり、イヌの首輪をつけて校庭の散歩をしたりと、子豚の世話に大喜びです。

家畜を通して地域を考える

 東京郊外の多摩地区にある西砂小学校の校区には、酪農家や養豚農家が点在しています。真壁校長は、畜産の地域に果たす役割を子どもたちに知ってもらい、環境を考え、地域づくりに取り組む力を育んでもらいたいと思っていました。

 1999年3月まで、真壁校長の前任校は三宅島の小学校。学校給食で以前は地元の牛乳を飲んでいたのが、牛乳工場の廃業により、ロングライフ牛乳が船で運ばれるようになっていました。「もう一度、地元の新鮮な牛乳が飲めるようにしよう。牛乳を手始めとして、これまで途切れてしまっている島の産業や食文化を再構築したい」と真壁校長は考えました。「牛を飼えば、ふんや尿がやせた火山灰地を肥やし、そこに野菜などの作物や牧草を栽培できる。この循環の大切さを子どもたちに教えてあげたいのです」
 子どもたちが「地元の牛乳がまた飲みたい」と書いた作文を村長にも読んでもらいました。すると作文は東京都の島嶼の畜産振興計画を策定する担当者のもとに届いたのです。そして、村営牧場にジャージー子牛20頭を導入する計画が盛り込まれました。島の牧場にやってきた乳牛に子どもたちはエサをやりながら、自分たちの思いが通じたことに大きな喜びを感じていました。その後、真壁校長は西砂小学校へ転勤となりました。

 2000年6月、三宅島では学校給食で地元の牛乳が飲めるようになる矢先に火山が噴火し、全島民の避難が始まりました。牛は東京都畜産試験場に移されました。早く子どもも牛も島に戻れて、地元の牛乳が飲める日の到来が待ち望まれています。
 

トラックに乗った子豚との別れ(写真提供:真壁繁樹)

別れの記念写真(写真提供:真壁繁樹)

真壁繁樹校長(写真撮影:西村良平)
畜産が地域に果たす役割に注目

 真壁校長は西砂小学校でも、地域での循環をいっしょに考えていくことを目標として掲げました。そこで地域に畜産があることに注目し、子どもたちが目を向けるように、学校で子豚を飼ってみることにしたのです。
 豚を飼うことは真壁校長にも初めてのこと。東京都畜産試験場などの研究者や技術者、養豚農家から飼い方のコツを教わりました。また、炭の粉をエサに混ぜて食べさせ、木酢液を水に混ぜて飲ませることで豚が健康に育ち、不快なふん尿の臭いが減っているという群馬県の養豚農家を紹介されて見学したこともあります。そこから炭の粉と木酢液を、学校の隣のマイタケの菌床栽培農家からは廃菌床を譲り受けました。病菌床のオガコに尿を吸着させ、ふんといっしょに発酵させるのです。
 これまで学校では野菜を栽培するための堆肥は購入していましたが、これからは豚ぷん堆肥と落ち葉堆肥をつくって実際に使用することで、循環というものを子どもたちに理解させることが可能になります。この堆肥を使い、鉢植えで大輪の菊を育て、地域の花いっぱい運動で使ってもらおうと考えています。

すくすく育った子豚

 子豚は子どもたちの世話ですくすく育っていきます。登校すれば、まず子豚を見に行くという子どもたちもでてきました。最初12kgだった体重も1カ月半ほどで50kgになり、重くなってからでは移動が大変なので、養豚農家に引き取ってもらうことになりました。子豚とのお別れに子どもたちは集まり、「元気でねー」という声に送られて子豚はトラックで運ばれていきました。

 真壁校長は「豚と接することが子どもたちの心の豊かさを育て、地域の資源の循環を考えることの第一歩となりました」と話します。これからは豚を飼うことを通して、循環型の地域社会や生命の循環を視野に入れた展開をも構想しています。

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