鶏糞発電で、未利用資源を有効活用化
県の鶏糞発生量の半分を処理可能
宮崎県北諸県郡高城町 南国興産(株)


日本初の大規模鶏糞発電施設。総事業費は約22億4000万円。宮崎県で発生する鶏糞の約半分を、エネルギーとして活用することができる

800〜1000℃の燃焼室で鶏糞を焼却し、ボイラーで高圧蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回して発電する

大規模は鶏糞発電施設としては全国初

 来年の11月から「家畜排泄物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律(家畜排泄物法)」の定める家畜排泄物の管理基準が適用されます。適用が始まると家畜糞尿の野積みや素掘りが違法となるため、数年前から各地で堆肥化施設の推進などが進められてきました。

 宮崎県の南国興産は昨年4月、全国で初めて鶏糞によるボイラー発電施設を完成させました。畜産振興総合対策事業を導入し、総事業費約22億4000万円をかけたこの施設は、未利用資源の有効活用のモデルとして、関係者の注目を集めています。

 「南国興産は、家畜の骨や内臓といった食べられない部分を熱処理して油分とタンパク質に分離し、飼料の原料を製造している会社です。実は20年前から、小規模ではありますが鶏糞を燃やして蒸気をつくって利用していましたから、鶏糞を燃やすノウハウはもともと持っていました。それも未利用資源を活用する、というスタンスから始めたことです。発電施設は、それをもっと大規模にしたということです」と工場長の弓削昭男さんは言います。


1時間当たり1960kwを発電することができる発電タービン。工場の電力の約6割をまかなう

発電施設の中央制御室。工場が休みの日でも発電施設は稼働している

年間10万tの鶏糞を処理

 この発電施設では、800〜1000℃の燃焼室で鶏糞を焼却して、ボイラーで1時間当たり41tの高圧蒸気を発生させ、その蒸気でタービンを回すことで、1時間当たり1960kwを発電することができます。鶏糞は異物を排除し、大きなかたまりは細かく砕いてから、燃焼室に吹き込まれます。1日で約300t、年間で約10万tもの鶏糞を処理することが可能です。養鶏が盛んな宮崎県では、1年間に発生する鶏糞は約20万tに及びますが、その半分を処理することができるのです。

 「工場の電力の約6割を、鶏糞発電でまかなっています。もちろん、蒸気も工場で有効利用しています」と弓削さん。県内の養鶏農家の支援という目的から、工場が休みの日も稼働させて鶏糞処理を行っており、その時発電したものは電力会社に買電されています。

 また、鶏糞を燃焼後に出る灰は、年間1万t。良質なリンやカリウムを含むために、肥料として有望視されています。

 「せっかく未利用資源としての鶏糞を活用しているのに、燃焼後の灰を産業廃棄物にしてしまったのでは、やはり意味がありません。完全利用するために、努力しているところです。肥料に商品化する事はほぼ完成していますし、販売面も5〜6割のところまでは来ています」

農業の問題だけでなく、エネルギー問題にも寄与

 お話しを伺っているうちに、素朴な疑問がわき上がってきました。鶏糞だけでなく、牛糞や豚糞も利用できないのでしょうか?

 「もちろん利用することはできるのですが、牛糞や豚糞は水分含有量が多くて発熱量が低く、エネルギーとして効率が悪いんです。ですから、今のところは鶏糞だけを利用しています。でも、私たちがこの事業を始めるにあたって一番に考えていることは、県の畜産の繁栄です。ですから今後は、豚尿や豚糞の活用に関しても、できるだけ協力し、循環型農業にさらなる貢献をしていきたい」この考え方は取締役社長杉田明司氏の基本的な方針でもあります。

 化石エネルギーの枯渇が問題視されている現在、バイオガス発電や木質バイオマス発電といった、エネルギーとしてのバイオマス利用が注目されています。もちろん鶏糞発電も、そのうちのひとつ。南国興産の取り組みは、循環型農業の実現にに寄与するだけにとどまらない、来るべき社会を見据えた取り組みなのです。


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