あいであ&アイデア

らくらく除角ができる『子牛の保定枠』

伊 東 重 雄



はじめに

 本機を作製した相沢義和さんは、南国宮崎県の最南端に位置する串間市で、46頭(経産牛33頭、育成牛13頭)を飼養する青年酪農家です。
 彼には、日常の飼養管理や飼料生産等に係わる業務の中から創出されるアイデアを、お金をかけずに具現化できる確かな腕(工作加工技術)があります。彼の手にかかるとそこらにころがっている廃棄物が、有用な道具に生まれかわるから不思議です。
 牛舎の前庭には、暇を見つけて集められたいろいろな廃用部品が山と積まれています。ひらめいたアイデアをもとに、ただちに製作にとりかかれるようにしており、ライフワークの一つになっています。
 ここに紹介する「除角用子牛保定枠」は、飼養管理の必要性の中から考案開発された器具の一つであり、昨年度畜産技術協会が全国の畜産試験場等を通じて収集した「生産現場で創意・工夫された畜産技術情報集」において優秀と認められたものです。


1.製作上のポイント

(1) お金をかけないことを最優先に、各種の廃用資材、部品を大いに利用しましょう。
(2) 持ち運びを容易にし、併せて狭い場所での作業が出来るように折りたたみ式にします。
(3) パイプの
U字型加工等難しい加工の部分は、鉄鋼所等に依頼した方がよいかも知れません。
(4) この保定枠のサイズは3〜4ヵ月齢を目安にしていますので、幼齢牛や和牛子牛の場合はサイズを若干小さくします。


2.主要な材料

(1) 土台の部

    規格(mm)    長さ(cm)   数量

角パイプ(60×20)   101       1

丸パイプ(径30)直管   76     

L鋼  (30×30)     57        1

     〃          63       1

(2) 枠の部

丸パイプ(径30)直管   85     

     〃           50     

     〃           56     

U字型加工          62     

(径20)釣り針型加工   71     

L 鋼(30×30)      49     

鉄 棒(径10)        68     

(3) その他の部品

 ターンバックル、蝶番用パイプ(径20)及び心棒(外径12)、引きバネ等。


3.子牛除角用保定枠の構造

写真-1 正面から

写真-2 後面から

写真-3 折りたたむとコンパクトになる

写真-4 しっかりと固定されるので作業がやりやすい


見取り図

 以上の材料を写真や見取り図のように溶接等により組み立てます。
 紙面の都合で詳しい説明が出来ないので、不明な点がありましたら相沢さん(宮崎県串間市大字北方547 電話0987−72−4399)へ直接問い合わせください。
 なお、相沢さんから「この子牛保定枠は酪農家のみなさんが、子牛除角のために製作することはいっこうに構いませんが、製造販売等営利を目的として製作することは固くお断りしたい」と伝言をいただいていますので申し添えます。


おわりに

 今年も乳価の低迷や飼料の値上がり等が懸念され、酪農経営は苦しい対応を迫られそうで。このような状況を考えるとき、優良後継牛の育成は極めて重要な経営課題の一つです。しかし、毎日が多忙な酪農家では、子牛の除角作業は案外面倒がられることが多いものです。この問題の解決を図るため、串間酪農組合では子牛の除角を酪農青年部の活動の一環として取り組み、この保定枠を使用して年間約200頭の除角を行っています。このように組織活動と一体化しながら、この保定枠を効率的、効果的に活用しているところに大きな特徴が見られます。
 今後、酪農家の高年齢化や経営の省力化等を考えますと、共同作業やグループ活動として少人数で安全かつ効率よく除角を行うには、この保定枠の持つ機能が大いに役立つと確信しています。



(報告者:宮崎県畜産試験場飼養部長)


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