経営技術セミナー       

搾乳作業マニュアル (2)

福岡県搾乳作業マニュアル作成委員会



VII.後処理(搾乳器具の洗浄)(承前)

1.予備水洗

 搾乳が終わったらバケットやユニット等の搾乳器具は、牛舎内のふん尿やほこりで汚れていますから水洗して汚れを落とします。

2.パイプラインミルカー

(1) 前洗い
 自動洗浄前に、手動で20l程度の水を用いてパイプラインをすすぐと、自動洗浄時の洗浄効果が高まります。

(2) 自動洗浄
@ 水 洗
 水洗が最も重要で、後の行程に影響するので十分に行ってください。搾乳終了後、速やかに行い、水で落ちるものはすべて落とすと後が楽になります。

A 洗 剤
   アルカリ洗剤(0.3〜0.5%)
     :脂肪、蛋白質を落とします。
      毎日行います。
   酸性洗剤(1.0%):乳石を落とします。
      3〜4日に1回の割合で行います。

 ※洗剤は高温ほど洗浄力を増しますが、高過ぎると蛋白質が変性、凝固するので排水温で40℃程度が適当です(表−4)。

B すすぎ
 十分すすぎを行わないと洗剤や汚れが残ってしまい、今までの苦労が水の泡です。

C 殺 菌:次亜塩素酸ナトリウム(塩素消毒)の場合
  保存法:非常に蒸発しやすく、紫外線で分解してしまうので、冷暗所で必ず密栓して保存します
     (紫外線で食塩水になる)。
  使用法:40℃以下の水、200ppmで使用します。
     (200ppm原液濃度6%溶液で300倍、10%溶液で500倍希釈)
      40℃以上、あるいは有機物の存在で殺菌力は急激に低下します。

D 分解洗浄
 自動洗浄を過信してはいけません。ホース、パイプのつなぎ目等のすき間に汚れが残るので、週2回の分解洗浄は必ず行います。

E 乾燥・保管
 乾燥は殺菌を減らすのに有効です。排水を十分行って乾燥させます。また、ディッパー、ストリップカップ等の小器具についても風通しの良いところに保管し乾燥させます。

F パイプラインミルカーの具体的な洗浄行程(例)(メーカーによって多少違います)

3.バケットミルカー

 パケットミルカーの洗浄はパイプラインの洗浄と同じ様な行程で行いますが、手洗いとなりますので丁寧に洗浄しましょう。

  バケットミルカーの具体的な洗浄行程(例)

4.異常乳用バケットミルカー

(1) 洗 浄
 抗生物質投与牛や分娩後の初乳の搾乳に使用したバケットミルカーは、アルカリ洗剤、酸性洗剤での洗浄を使用の度に行います。

(2) 留意点
 異常乳用のバケットミルカーは治療牛用と初乳牛用のバケット2種類持つようにした方が良いです。
 無理な場合は搾乳順序を初乳牛→軽度の乳房炎牛→中度の乳房炎牛→重度の乳房炎牛の様にしましょう。

  異状乳用バケットミルカーの具体的な洗浄工程(例)

5.バルククーラー

(1) 洗 浄
 バルククーラーの洗浄は生鮮食料品を保存する容器だと考え、ミルカーと同様に気を付けて洗浄します。具体的な洗浄行程の例を次に示しますので、参考にしてください。

(2) 生乳の保存
 バルククーラー温度は細菌の繁殖と密接な関係があり、適切な温度に保つことは大変重要です。
 機能は1時間で10℃、次の1時間で4℃に低下することが可能ですし、4℃以下に保たないと細菌も繁殖することから4℃を維持することが必要です。

  バルククーラーの具体的な洗浄工程(例)

 図−3は乳温と細菌の関係を示したものです。4℃の必要性がわかります。


VIII.点検・整備

 ミルカーの点検・整備はメーカーによって点検整備の方法が大幅に違いますので、必ず取扱説明書にしたがって行ってください。次に例をあげますので参考にしてください。

1.日常の点検・整備

(1) ライナーゴムの交換
 ライナーゴムは2,000回以下の使用をめどに交換します。しかし、搾乳頭数が少なくても洗浄ごとの酸やアルカリでゴムが劣化するので、3カ月ごとを目途に交換しましょう。

(2) 搾乳時の点検
 @ 真空系統
  ・油は入っていますか。
  ・潤滑油が漏れたり、少なかったりしていませんか。
  ・真空タンクのエア漏れはないですか。
  ・排水バルブはきちんと動きますか。
  ・調圧器の音は正常ですか。
  ・真空配管のエア漏れはないですか。
  ・コック類のエア漏れはないですか。
  ・真空系の針の位置は正常ですか。

 A 搾乳系統
  ・パルセーターの拍動は正常ですか。
  ・ライナー、ミルククロー、チューブからエアが漏れていませんか。
  ・パッキン、配管からエアが漏れていませんか。

 B 処理室内配管系統
  ・レシーバージャー、コック類からエアが漏れていませんか。

2.毎月の定期点検

(1) 真空系統
 ・プーリーにガタはありませんか。
 ・ベアリングにガタはありませんか。
 ・フロートバルブは正常ですか。

(2) 搾乳系統
 ・ライナーの交換時期ではないですか。
 ・パイプの結合は正常ですか。
 ・パイプの取り付け金具にゆるみはないですか。

(3) 処理室内系統
 ・パッキンのゴムは硬くなっていませんか。

 ※毎日点検していても下のような症状がでたら、すぐに組合あるいはメーカーの専門家に連絡して、修理してもらいましょう。
  ア.ミルカーがよく落ちる。
  イ.搾乳に時間がかかるようになった。
  ウ.真空ポンプの音がおかしい。
  エ.真空圧が下がってからの回復が遅い。
  オ.ミルクパイプにアワができたり、激しく流れる。
  カ.ミルカーがつけられるのを嫌がる牛が増えてきた。
  キ.真空計の針が正常位置で止まらない。

3.毎年の定期点検・整備

(1) 真空系統
 ・エアフローメーターによる点検。
 ・フロートバルブの点検(必要に応じて交換)。
 ・グリースアップ、パッキン類の交換。
 ・標準真空系による検査。

(2) 搾乳系統
 ・パルセーターレコーダーによる点検。
 ・パルスチューブ、パッキン類の交換。

(3) 処理室内系統
 ・ジャー、フィルター、コック類、サニタリートラップの分解点検。

 毎年の定期点検・整備は特殊な計測器械を使用しますので、組合もしくはメーカーの専門知識をもった人に検査してもらいましょう。(完)

正しい搾乳作業で体細胞数・細菌数の低減を!!



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