畜産豆知識

クローン



 畜産はクローン技術の応用で、最も発展の期待できる分野の一つです。最近でも、羊のクローン(複製)を体細胞から作り出すことに世界で初めて成功し、生まれた羊に「ドリー」という名前を付けたというニュースが流れましたが、今回は「クローン」とはどの様なものか紹介したいと思います。

 クローンについて説明する時に、避けて通れない言葉に「バイオテクノロジー」があります。バイオテクノロジーとは、バイオロジー(生物学)とテクノロジー(技術)とを組み合わせてつくられた造語で、生命工学や生物工学などと訳されています。遺伝子組み換えやDNA実験が盛んになる頃から、一般に使われだしました。

 バイオテクノロジーは、遺伝子工学、核・卵・胚操作技術、バイオマス(生物有機体をエネルギー資源として利用する方法)などの生物利用技術と、バイオエレクトロニクス・バイオメカニクスなどの生体模倣技術に大別されますが、クローンは、バイオテクノロジーの生物利用技術の中に含まれ、その中でも特に有名な技術です。

 クローンとは、一口で言うと、無性生殖で増殖した、遺伝的に全く同一な細胞や生物個体の集団のことです。先の「ドリー誕生」は、この羊が大人の細胞(の遺伝情報)を基に生まれた最初の動物であることと、成長分化した大人の細胞には、もはや1個の個体を作り出す能力はないという発生学の常識が崩れたことで、大変話題になりました。

 ところで、自然にうまれる一卵性双子も、無性生殖ではないが一種のクローンと言えますし、牛では、人為的に一卵性双子を生産する技術がすでに実用化されています。受精後7〜8日に100個程度の細胞までに分裂した受精卵を子宮から取り出し、微細なメスで二分割してこれを借り腹である牛(受精牛)に移植することにより、一卵性双子が生産できます。日本ではこの技術により、平成8年度には年間80組(160頭)以上の一卵性双子が生産されています。


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