生産技術セミナー

愛称「とちぎLaLaポーク」

〜系統豚「トチギL」を利用した豚肉

斎 藤  馨



 栃木県畜産試験場で造成した系統豚「トチギL」を利用して肥育した肉豚(LWDまたはWLD)の愛称が「とちぎLaLaポーク」と決定し、去る2月12日開催された県産畜産物消費拡大の集いで公表されました。

写真−1 「肉食と日本人」と題し講演をする粉川宏氏

写真−2 熱心に講演を聞く聴講者

 栃木県の畜産物は、すでに牛肉が「とちぎ和牛」、鶏肉が「栃木しゃも」のブランド名で流通しており、それに次ぐ第3弾です。
 この愛称は、県と県養豚協会(会長・郡司義一)が、ふるさと栃木を代表する優れた豚肉が広く消費者に定着するよう、一般から公募しました。
 ランドレースの「ラ」をとり「ララ」と2回発音することがリズミカルで、明るくしかも大変親しみやすいという理由により、多数の応募作品の中から、矢板市の主婦・小林千恵子さんのものが選ばれ、会場にて知事賞と副賞が贈られました。
 次席には、「マロニエポーク」の愛称を考えた宇都宮市の藤田寛さんら3名の方へ、県養豚協会長賞と副賞が贈られました。
 系統豚「トチギL」は、県畜産試験場で昭和59年度から造成を開始し、8年かけて平成4年度に完成し、平成5年3月に日本種豚登録協会から系統豚として認定(系統番号L−21号)されたランドレース種です。

 第2部として、講師を「週刊新潮」の事件作家・粉川宏先生による「食肉と日本人」と題した講演会が行われました。
 日本人の食肉の歴史をユーモアを交えて話され、日本人の懐の深さ、美しさ、日本人らしさ、明るさ、良さ等をもう一度考え直し、さらに日本の農業が、水田が、畑が、牧場が、家畜等が人間に何を語りかけているかに耳を傾けるとともに、人間は自然に対して何を語るべきか、いかに自然と調和した生活をすべきか等を話されました。

 第3部は、「とちぎLaLaポーク」を使用した料理の試食会が行われました。
 テーブルに並べられた料理はフランス料理で、ヒレ肉を用いたフィレ・ドゥ・ウール・シェ・オアジー(ヒレ肉にパン粉と薄切りのリンゴをまぶした包み焼き)、ローストポーク・アップル添え(ローストポークにシナモンと一緒に煮たアップルの付け合わせ)、コート・ドゥ・ポール・プレゼ・ア・ア・ラ・ムタード(蒸し焼きにしたロース肉へ、生クリームにフレンチマスタードを加えたソースをかけたもの)の3品が並べられました。
 会場には、240名の県民が参加しましたが、大変美味しいと好評でした。

写真−3 試食料理のフィレ・ドゥ・ウール・シェ・オアジー

写真−4 試食料理のローストポーク・アップル添え

 さらに、この「とちぎLaLaポーク」の普及啓蒙を図る参考にするため、アンケートを実施しましたが、試食会の感想は次のようでした。回答数は179、回収率75%でした。これは、講演会終了時で帰宅した人や、男性の出席者の回答が少なかったためです。

◎ 設問−1「肉類は主にどこで購入しますか」の回答は、

 ・スーパー         110(61%)
 ・専門店           11( 6%)
 ・デパート           7( 4%)
 ・その他(生協等)       6( 3%)
 ・スーパーと専門店      10( 6%)
 ・スーパーとデパート     20(11%)
 ・スーパーとその他       8( 4%)
 ・スーパーと専門店とデパート  3( 2%)
 ・専門店とデパート       3( 2%)
 ・専門店とデパートとその他   1( 1%)
でした。

 この数字からそれぞれの店の延べ利用者は、
 ・スーパー         151(66%)
 ・専門店           28(12%)
 ・デパート          34(15%)
 ・その他(生協等)      15( 7%)

となり、7割近い人が食肉の購入は「スーパー」を利用していることがうかがえます。
 次いで「デパート」の34(15%)、「専門店」の28(12%)、「その他」(生協等)の15(7%)となっています。
 今後「とちぎLaLaポーク」を販売する場合、販売店の指定についても検討する必要があると思います。

◎ 設問−2「購入には何を基準としますか」では、先ず価格について「安いもの」を選ぶか、「価格は気にしない」かを尋ね、次いで肉の品質について尋ねました。

 価格については、

 ・安いもの         193(52%)
 ・こだわらない        63(35%)
 ・その他            1( 1%)
 ・無回答           22(12%)

との回答で、「安いもの」が193(52%)と約半数ありましたが、「価格にこだわらない」という回答も63(35%)ありました。

 次に、品質について「肉色の濃淡」「脂肪の多い少ない」「肉の固い軟らかい」について回答を求めました。
 その結果をまとめたものが表−1です。

肉色については、

 ・淡 い          105(59%)
 ・濃 い           59(33%)
 ・無回答           15( 8%)

 「淡いもの」との回答数が105(59%)で、約6割の人が肉色の薄いものを好む傾向がみられました。
 「濃いもの」との回答は59(33%)ありました。

 脂肪の「多いもの」を好むか、「少ないもの」を好むかとの設問に対しては、

 ・多いものを好む        6( 3%)
 ・少ないものを好む     170(95%)
 ・その他            1( 1%)
 ・無回答           2( 1%)

の回答があり、殆どが「少ないもの」を好む傾向がみられました。
 脂肪の「多いもの」を好むは、わずか6(3%)でした。
 その他の1人は、料理方法によって替えるという回答でした。

 肉の固さについては、

 ・固いものを好む        3( 2%)
 ・軟らかいものを好む    173(97%)
 ・無回答            3( 2%)

であり、「軟らかいものを好む」が173(97%)でした。

 また、食肉を購入するときの安全性の基準は、どのようなことを考えているのかを尋ねましたが、その回答は、

 ・日付け、新鮮さ       54(30%)
 ・国産品や産地のわかるもの  47(26%)
 ・薬物や添加物を使わないもの 17( 9%)
 ・店を信頼          10( 6%)
 ・肉色や脂肪          4( 2%)
 ・その他            8( 4%)
 ・無回答           39(22%)

であり、「日付けが判り、新鮮」なものが1位で、54(30%)でした。
 次いで「国産品や産地のわかるもの」が47(26%)、「薬物や添加物を使わないもの」が17(9%)でした。
 「販売店を信頼している」と回答したものも10(6%)ありました。

◎ 設問−3「1週間に何回購入しますか」については、

 ・0.5回以下         3( 2%)
 ・1回            46(26%)
 ・2回            80(45%)
 ・3回            42(23%)
 ・4回             4( 2%)
 ・5回以上           3( 2%)
 ・無回答            1( 1%)

という結果がみられ、「2回」が最も多く80(45%)、次いで「1回」の46(26%)、3回の42(23%)でした。
 週「2回」以下の合計は、129の72%ですが、これは家庭の冷凍・冷蔵施設等が整っているのでまとめて買うのか、購入量が少ないかは不明で、設問に1回当たりの購入量や、家族構成の設問をしなかったことが反省点でした。

◎ 設問−4「家庭では主にどのような豚肉料理を作りますか」では、料理名二つの記載をお願いしました。その結果、

 ・焼き肉           65(18%)
 ・カレー           50(14%)
 ・野菜炒め          40(11%)
 ・とんかつ          40(11%)
 ・煮込み           21( 6%)
 ・肉じゃが          17( 5%)
 ・生姜焼き          14( 4%)
 ・すき焼き          13( 4%)
 ・豚汁            13( 4%)
 ・シチュー           9( 3%)
 ・ソテー            9( 3%)
 ・酢豚             6( 2%)
 ・鍋物             6( 2%)
 ・しゃぶしゃぶ         6( 2%)
 ・ステーキ           4( 1%)
 ・角煮             3( 1%)
 ・その他           17( 5%)
  (その他は、餃子・味噌漬け・茹で豚・豚キムチ・ロールキャベツ・八方菜・ハンバーグ・コロッケ等17品目)
 ・無回答           25( 7%)
でした。

 上位には、「焼き豚」「カレー」「野菜炒め」「とんかつ」の4品目がベスト3で、家庭で比較的簡単にでき、しかも野菜が一緒に取れるような料理方法に豚肉が利用されている傾向がみられました。
 焼き豚には、鉄板焼きと網焼きがありますが、そのどちらの料理方法かは不明でした。
 しかし、豚肉を利用して簡単に家庭で作れる料理が、30種類以上も記載され、その種類の多さに改めて驚かされました。

◎ 設問−5「試食した豚肉の味はいかがでしたか」については、

 ・おいしかった       138(77%)
 ・おいしくなかった       4( 2%)
 ・ふつう           22(12%)
 ・わからない          4( 2%)
 ・無回答           11( 6%)

 「おいしかった」との回答は138(77%)でした。特に肉が軟らかく、豚臭さがないので、お年寄りにも好まれるのではないか等、好評でした。
 「ふつう」との回答が22(12%)でしたが、「おいしくなかった」という方も4(2%)あったことは少々気になります。
 無回答の11(6%)に中には、試食会に出席せずに帰られた方も含まれています。

 総理府の家計費調査によると、栃木県の豚肉の消費量は3.4人家族で年間約17kgです。これは、全国順位では14位ですが、牛肉や鶏肉、鶏卵等の消費量の順位は下位にあります。
 また、県民1人当たりの所得は全国10位ですが、成人病の一つである脳血管障害による死亡率は全国ワーストワンです。
 極端にいえば、塩分の多い副食で食事をし、お金を残して早死にしてしまう話です。
 県ではこの不名誉な記録を返上しようと、県民一丸となって脳血管障害予防運動に取り組んでいます。
 このようなとき、地場産の豚肉の愛称が、「とちぎLaLaポーク」と発表されたことにより、県民の健康への意識を併せて啓発するため、県では系統豚利用定着化事業やトチギL利用体制整備事業により、県系統豚利用推進協議会や県養豚協会を支援し、「とちぎLaLaポーク」の生産者の指定や県食肉事業連と連携を図り、販売店等の指定も行い、生産と消費の拡大に取り組む予定でおります。

 今後「とちぎLaLaポーク」がローカルブランドとして定着し、県民の延いては国民の健康増進と畜産の振興に貢献することが期待されます。
 実際に店頭に並ぶのは今秋以降となりますが、どうか全国の皆様にはご来県の節にぜひ「とちぎLaLaポーク」をご賞味下さるようお待ち申し上げております。
栃木県養豚協会・栃木県系統豚利用推進協議会・栃木県畜産物利用促進協議会の事務局はいずれも栃木県畜産会内です。

(筆者:栃木県畜産会 参事)



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