明日への息吹

コントラクタ事業の現状と課題

茅場 道男

 

1.組合の概況

 茨城県美野里町は、茨城県のほぼ中央にあって、国道6号、常磐自動車道JR常磐線の3つの交通動脈が貫通し、首都圏80km圏内に位置しています。組合の生い立ちは、昭和11年に人と家畜と土地の三身一体の農業を協同の力で推進することを目的として「堅倉村畜牛組合」が結成され、以来、幾多の試練と苦難を乗り越え、昭和36年「美野里酪農業協同組合」として、新たなスタートをしました。
 当初は組合員166名、飼養頭数481頭で経営形態は複合経営であったが、現在は組合員73名(正組合員62名、准組合員11名)うち生乳出荷者49名、飼養頭数3,873頭(成牛2,748頭、育成牛1,125頭)、平成7年度の生乳生産量は16,619t(日量45t)となり経営形態も専業経営が主体となっています。
 酪農家の自給飼料の生産については、労働過重の低減、作業機械への過剰投資の抑制、生産コスト低減化等を図るため組合の事業として作業受委託事業を展開しています。


2.コントラクタを開始した理由

 美野里酪農協の設立2年後の昭和38年に、組合員からの要望によりトラクター1台と耕起作業機を導入、耕起作業の利用事業を開始し、オペレーターの技術研修や利用料金制度を確立しました。
 昭和42年、従来の作業に加えて、バキュームカー、マニュアスプレッター、モアー、クロップチョッパー等を導入して一貫した粗飼料生産作業ができるよう整備しました。
 その後、年々機械の増強・更新に努め組合員は年間貯蔵飼料給与型酪農経営となり、多頭化へと急速に進んできました。このようなことから利用面積が増大(草地造成、農用地利用銀行等)し、オペレーターの不足と刈取り適期での処理に対応しきれなくなり利用者に不満の声がでてきました。一方で一部地域に水田転作を中心とした飼料生産組合が発足し利用事業から分離したため、これらの組合に対しても酪農組合と同様に指導して、より良い形となり運営も順調になってきました。
 平成元年、粗飼料(サイレージ)の品質向上を図るため、クロップチョッパーからハーベスター刈取りへの要望が高まり、自走式ハーベスターを導入しました。現在、ハーベスター作業を中心に作業体系を組み、機械の整備・増強を図るため平成8年9月に新規に自走式ハーベスター(ニューホーランド社製FX300)を導入し、刈取り作業に威力を発揮しています。
 オペレーターは、常勤者1名を組合の準職員待遇で採用し、圃場作業と作業機械の維持管理をしています。その他に組合員の後継者20名をオペレーターとして登録しており、このオペレータは作業があるときのみ出役となっています。


3.構成員

 組合員73名、利用事業対象酪農家49名(生乳出荷者)となっていますが、実際の利用農家戸数は27戸であり、その他は任意の飼料生産組合及び2〜3戸の共同にて組合と同様の作業体系を確立し実施しています。


4.作業体系

 年度始めに組合が利用希望を取りまとめ、作業調整を行った後、オペレーターを確保します。
 1年間のスケジュールは、年度始めに作成されるので、オペレーターは自家の作業予定も、年間にわたって立てることができます。
 ただし、悪天候により作業が出来ない場合はそのまま後にづれこむことになります。
 刈取った飼料はすべてサイレージに調製しますが、サイロのうち約8割はスタックサイロであり、コントラクタの作業は原料を貯蔵場所へ運搬するまでで、その後の重機による踏圧、覆土は農家自身の作業または建設会社への手配によります。

○播種作業工程

堆肥散布耕起肥料散布整地播種鎮圧除草剤散布
【 コントラクタ委託 】

○収穫作業工程

刈取り  運 搬  積み上げ  鎮圧  ビニール被覆
【コントラクタ委託】   【建設機械(バックホー)利用】


5.保有機械

 表−1のとおりで、機械類はすべて美野里酪農協で購入し、組合の機械庫に保管しています。


6.利用料金

 表−2のとおりで、利用料金の単位は1分当たりで設定されオペレーター各自が作業時間を記録し、利用料金を計算します。


7.飼料作付け面積

 飼料作付け面積(50戸)は、表3のとおり借地が自作地を上回っています。夏作は大部分がトウモロコシとソルゴーの混播であり、ソルガムの再生2番草まで利用しています。冬作の面積は夏作の約20%であり、主にムギ類の混播となっています。


8.年次別稼働実績


9.年次別収益状況


10.ユーザーのコントラクタ評価

@過剰投資が避けられ、経費が軽減できます。収穫作業中でも牛の管理に十分目が届き牛の世話に集中できるので、精神的にも時間的にも余裕があります。

A体が楽であるし、一度にすべての収穫作業が完了するので作業効率が良いです。また、機械購入費や修繕費について心配する必要がありません。

B自給飼料生産が低コストで生産されます。


11.課題と今後の活動方向

@機械の老朽化による作業能力の低下、特にトラクター8台のうち7台が10年以上経過しており更新が必要です。また、オペレーターも青年部に頼っていますが、確保が困難であり高齢化傾向でもあります。

A個々の飼料畑が散在しているため、作業能率が悪い。また、隣接する耕種農家の作物への影響に配慮を要します。

 今後は町の農業公社を中心として、飼料畑の集団化が図られるよう、関係者一体となって取り組んでいきたいと考えています。

 

(筆者:美野里酪農業協同組合業務課)


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