あいであ&アイデア

洗濯物バサミを利用した的確で効率的な再発情のチェック

後田  昇

 

 繁殖畜では生産物(子畜)の生産原価の高低を支配する大きな要因の一つが繁殖成績(分娩間隔)ですが、実際には繁殖成績の経営間格差には大きなものがありますし、このことが経営の生命線に係るような事例も少なくありません。適正な管理によって雌畜が正常な発情徴候を示しても、群飼の中で家畜同志の相互行為があっても、管理者の的確な発情の捕捉がなければ、雌雄分離飼育の場合は妊娠という成果は生まれません。意識化された看視があってはじめて、牛や豚の3週単位の分娩間隔のムダが解消されます。

 ここでは、的確な交配と受胎こそが経営のポイントだとおっしゃる、長崎県北有馬町で成雌豚50頭規模の養豚一貫経営を営む平木勇さんの小さな工夫を紹介します。

 繁殖豚舎での除ふん清掃や給餌という一定の作業の流れの中で、作業の流れにムダ・ムラ・ムリを生ずることなく、特に離乳後初回交配のあとの再発情捕捉の遅れや見逃しの防止を主目的に、併せて個体ごとの飼料給与基準量などを表示するものとして、洗濯物バサミを活用しています。

 活用方法は表のとおりで、色(2色)と、はさむ方向(2方向)によって、離乳後初回交配から分娩舎への移動までの間の繁殖豚の管理状況を表示して、繁殖豚舎の管理を担当する平木さん自身の日常管理の効率化と高い繁殖成績の維持にはもちろんのこと、多忙なご主人に代わって奥さんが繁殖豚の管理を行う場合にも大いに役立っています。

 以前から、飼槽の上には繁殖豚とともに移動する個体ごとの繁殖記録板を下げて、交配日・発情予定日・分娩予定日・産歴などを記載していましたが、日常管理に活用するにはこれだけでは十分ではないとのことです。豚の様子に変化が認められても、除ふん清掃など豚の後方で作業を行っていた場合には、長い豚房の列を迂回して前面に回り記録板の予定日を確認する必要があり、つい見落としてしまうこともたまにはあったようで、ムダやムラが多かったとのことです。

 記録板にはさまれた洗濯物バサミは豚舎内のどこからでも確認でき、現在は洗濯物バサミと記録板表裏に記入された再発情予定日によって、効率的な再発情のチェック(あるいは妊娠の確認)が可能となり、再発情の疑いがある豚は必ず3日間(1日2回)交配豚房へ入れることで、高成績に結びつけています。

 もともと、高い管理技術をもつ平木さんですが、洗濯物バサミを利用することによって、たいへん効率的で的確な繁殖雌豚の管理を行い、年間2.4回以上の繁殖豚当たりの分娩回数を、家族ぐるみで維持しています。

 

(報告者:長崎県畜産会 総活畜産コンサルタント)


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