明日への息吹

「京都の特別牛乳」いかがどすか

(特別牛乳の生産・販売による明日への酪農経営)

石川 徹

 

はじめに

 21世紀への文化・科学を創造する関西文化学術研究都市にほど近い京都府相楽郡加茂町の農事組合法人クローバー牧場(松本健也組合長理事)では、平成7年2月に西日本では初めてという特別牛乳さく取処理場の許可をとり、「京都の特別牛乳」という名称の特別牛乳の生産・販売をスタートしました。


1.特別牛乳とは

 特別牛乳という言葉を聞かれた方もあると思いますが・・・・・・・・。
 特別牛乳とは、牛の健康状態はおろか牧場施設から牛乳処理施設等までが許可の対象となり、一定の飼養・施設条件の中で搾乳した牛乳であり、かつ厳しい乳質基準のもとで牛乳処理された牛乳をいいます。


2. 特別牛乳と一般の牛乳との違い

 クローバー牧場の松本健也組合長理事に特別牛乳(「京都の特別牛乳」)と一般の牛乳との違いをお聞きしました。

@ 一般の牛乳は、そのまま置いておくと腐ってしまうが、特別牛乳は、牛乳の成分が生きているということからヨーグルト状になります。

A 特別牛乳は、均質処理をしていないので上部に生クリームが浮いてきます。

B 特別牛乳は、低温殺菌(62℃、30分間殺菌処理)により、自然の栄養素を損なわないことから栄養価の高い牛乳といえます。

 以上の他に、栄養分の消化吸収が良いことからお腹がゴロゴロしたり、下痢をおこしたりしにくいということから、牛乳が嫌いな人や牛乳を受けつけない人等へも勧めているということでした。


3.クローバー牧場の概要

 「京都の特別牛乳」を生産・販売しているクローバー牧場は、京都市から南へ約30km、奈良市に隣接する加茂町の丘陵地帯の一角にあり、その名前は以前長期研修したアメリカの家族経営の牧場の名にちなんで名付けられた牧場です。
 現在は、初代の松本左武郎さん(父、84歳)夫婦、2代目の松本健也さん(本人、56歳)夫婦、3代目の松本徹さん(長男、28歳)および松本真一さん(次男、27歳)の親子3代にわたる家族を中心とした労働力により、経産牛60頭、育成牛¥約物幅(2分)30頭を飼養している専業酪農経営です。


4.「京都の特別牛乳」に取り組んだキッカケ

 乳製品の自由化を初めとした酪農経営を取りまく経済条件等の変化に対して、これまで様々な取り組みや努力を続けてきました。そうした中で、消費者に健康のために体に良い牛乳を安心して愛飲してもらうために、生産者としては安全かつ高品質な牛乳を、生産から販売までを責任を持って供給していくことが、これからの酪農経営が生き残っていく一つの道であると考えたことがキッカケです。こうして誕生したのが「京都の特別牛乳」という商品名の特別牛乳です。

 


5.「京都の特別牛乳」の内容

 「京都の特別牛乳」の主な内容は、次のとおりです。

 種 類 別 : 特別牛乳

 商 品 名 : 京都の特別牛乳

 成   分 : 無脂乳固型分8.5%以上  乳脂肪分3.4%以上

 原材料名  : 特別牛乳用 生乳

 殺菌温度  : 62℃、30分間殺菌

 内 容 量 : 920cc(5合)

 主な成分規格として、上記以外に殺菌数1中30,000個以下になっています。
 また、殺菌温度が62℃、30分間殺菌という低温殺菌方法によることから、自然の栄養素(カルシウム、ビタミン、ミネラル、蛋白質等)を損うことなく、最も生乳に近い牛乳といえます。さらに、牛乳を均質処理していないノンホモゲナイズ牛乳なので、しばらく置いておくと上部に生クリームが浮いてきます。

 


6.「京都の特別牛乳」の生産・販売

 「京都の特別牛乳」の生産は、現在1週間に2回、約500kg程度です。その容器は、半透明のプラスチック製による920cc(5合)入りの特製容器で、1本680円程度で販売されています。
 「京都の特別牛乳」の販売先は、町内、郡内はもとより宇治市、奈良市へと広域にわたり、消費者のもとには、専用自動車により定期的に宅配されています。また、一部は宅急便により大阪市にまで販売されています。

 


おわりに

 クローバー牧場における「京都の特別牛乳」という特別牛乳の生産・販売の事例は、地域に密着しつつ、消費者のニーズと生産者の信念、努力とが結びついた明日への一つの酪農経営であります。こうした消費者を意識した畜産物の生産、販売は、個人的または組織的にも今後ますます重要になってくることでしょう。
 今回、私も初めて「京都の特別牛乳」を飲んでみましたが、そこには牛乳が持っている風味そのものがあり、とても感激しました。
 皆さんも、「京都の特別牛乳」をいかがどすか。

 

(筆者:京都府畜産会 総括畜産コンサルタント)


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