畜産豆知識

豚流行性下痢

 

 豚流行性下痢は、8年1月頃から南九州地方で多発し、鹿児島県では子豚が2万頭以上死亡するという事態になり、10月には、家畜伝染病予防法に規定する届出を要する疾病として追加されました。

 このPEDは、PEDウイルスの感染によって起こる豚の急性胃腸炎で、1970年代にヨーロッパで発見されています。激しい下痢が特徴で、若い豚ほど重症となり、特に哺乳豚の死亡率が高いという傾向があります。また、本病の詳しいことはまだ判っておらず予防法も確立していません。しかし、先頃、農水省家畜衛生試験場において分離ウイルスの培養と簡易な診断法の開発に成功したとの報道がありますので、近々、何らかの対策が確立されるものと期待されています。

 PEDの症状は、TGE(豚伝染性胃腸炎)と類似しており、実験感染では潜伏期間が新生豚では24〜36時間、肥育豚で2日ですが、自然感染ではもう少し長いと言われています。新生豚では、発症の直前には食欲不振・嘔吐が見られ、突然、水様の下痢を始め、激しい脱水症状とともに3〜4日間下痢をして、著しい体重の減少とともに死亡に至ります。離乳後の豚はほとんど回復するものの、生後1週間以内の幼豚で死亡率は50%に達します。解剖してみると、病変は小腸に限られており、腸管は黄色味を帯びた水様物で占められ、腸管壁は薄く、弛んだように見えます。

 前述したように、対症療法は確立していませんので、一般的な衛生管理を強めることが重要ですが、11月に出された農水省の衛生対策の強化によると、以下の点について強化・徹底が必要とされています。

(1)侵入防止対策の強化

 鹿児島県の集団発生については、同県の疫学分析によると、ウイルス保有豚の導入、と畜場等の集合施設間の往来、飼料運搬業者等の来場者等が主な侵入経路であるとしていること。また、発生農場での発生形態が散発的でなく、発症豚の隣接豚から順次発生していることから、これまでの発生については、侵入経路は特定されていないものの、豚同士あるいは糞便を介して伝播しているものと考えられるので、豚、人、飼料、車輌等の出入り、搬入搬出に当たっての的確な衛生管理の徹底による侵入防止対策の強化を図ること。

(2)発生時の対策

 早期に防圧を図るためには、発生の初期段階で発生豚の隔離・オールアウト・徹底消毒・2週間の空舎、管理分娩の実施(隔離分娩、分娩サイクルのグループ化(オールイン・オールアウトの容易化)、早期離乳(哺乳豚の隔離及び管理方法の習熟・徹底は不可欠))等の対策を的確に講ずること。

(3)腸管ミンチの給与

 一部農家において、病畜の腸管ミンチを給与し、その結果、下痢又は流早産の被害が確認されたとの報告がある。そもそも腸管ミンチは@強毒野外ウイルスを含有していること、APRRS(豚繁殖・呼吸障害症候群)等他の伝染性疾病の病原体を含有している可能性が極めて高いことから、我が国においては、給与によってPEDウイルスを拡散させるのみならず、他の疾病もまん延させ、被害の拡大を招く極めて不適当な対応である。したがって、腸管ミンチは絶対に給与しないこと。


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