あいであ&アイデア

基本に忠実な牛飼を支えるふんばり棒

高橋  功

 

 畜産経営で厄介な仕事に厩肥の搬出(ボロ出し)があります。飼養管理労働時間の中でも大きな割合を占めますし重労働で嫌な仕事です。

 宮城県宮崎町で肉用牛の繁殖経営を行っている加藤金蔵さんは、この厄介な仕事を楽に片付け、牛房の中を清潔に出来る様に工夫をしました。

 良質米産地の宮崎町ですから、勿論、稲作との複合経営ですが、収穫した稲の乾燥に使う稲杭(いなぐい)よりもやや太い直型10cmくらいの棒がそれです。

 棒を牛房の中に垂直に立て上の端を梁に釘で固定し、下の端は床(コンクリート)に深さ2cmくらいの穴をあけて、棒が横にずれない様にします。

 牛は牛房内につなぎ方式で飼っており、一見奇異に思えますが、昭和47年に酪農から肉用牛(和牛)繁殖に切替えた時から肉用牛もつなぎ方式で十分管理できると自信を持っていました。

 肉用牛を始めた当初は、牛房内で母牛をつなぐこともなく普通に子付母牛として管理していましたが、頭数がふえて(現在成牛8頭)くると、踏み込み厩肥の搬出と子牛の育成の問題が出てきました。また、神経質な母牛に悩まされたのも一つの要因です。

 棒を立て、つなぎ方式で飼うことによって、母牛の後躯は約45度くらいしか横に動くことが出来ませんので、排ふん排尿は、牛房内のほぼ同じ場所に排泄されることになり搬出作業は大変楽になりました。敷料の汚れも少なく、使用量は1/2になり2.5haの自作田のワラで十分間に合うとのことです。また、牛房内の半分は、ふん尿で汚れることがなく、乾燥した状態で、哺乳子牛の居所として良い環境が保たれています。

 神経質な牛についても、運動が制限されることと、朝の給餌後ブラッシングを続けることで次第に温順な性格になったとのことです。

 牛を後方から十分観察出来るため、発情の発見も容易で1年1産を実現していること、少ない敷料のため蹄の観察も良く出来ること、床が乾燥して清潔なことから子牛の事故は殆んどなく発育も良好なことが効果としてあげられます。

 もっとも、つなぎ方式といっても成牛用のパドック、子牛用のパドックを手作り設置して利用していること、トウモロコシサイレージを通年給与し、乾草も自家生産し飼料は全て計量して給与していること、サイレージ調製の際には気密サイロ(FRP10立方mクラス)の中にビニールで、空気をしゃ断する層を3〜4段設け閉封後の2次発酵を防止していること等、基本に忠実な牛飼いをしていることを強調しておきます。

(報告者:宮城県畜産会総括畜産コンサルタント)


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