特別企画

 

ロールベールサイレージ上にTMR給与!

横 山  学

 自給飼料を作付けしている農家の皆さんにとって、ロールベールサイレージ体系は、省力的で便利な技術です。しかし、TMRに混合するためには、高価な専用機械が必要で作業もわずらわしい、という欠点があります。そこで、ロールベールサイレージの細断やTMRへの混合をせずに、泌乳牛に給与する技術を検討してみました。

1)方法

 泌乳後期牛を用いて、(1)混合給与区(ロールベールサイレージを細断しTMRと混合して給与)、(2)分別給与区(細断していないロールベールサイレージとTMRを別々の飼槽で給与)、(3)同時給与区(同一の飼槽で細断していないロールベールサイレージ上にTMRを給与)の3区で比較しました。

図−1 同時給与区における採食状況

2)結果

 TMRの摂取量については、有意差は見られませんでした。一方、ロールベールサイレージの摂取量では、分別給与区と同時給与区の間に有意差が見られました(p<0.01)。TMRとロールベールサイレージの合計の摂取量では、各区間に差はありませんでした。

表−1 飼料摂取量

    TMR ロールベールサイレージ 合計
ロール
給与
体重

(kg)
乾物
摂取
(kg)
TDN
摂取
(kg)
DMI
/MBW
(%)
TDN
/MBW
(%)
乾物
摂取
(kg)
TDN
摂取
(kg)
DMI
/MBW
(%)
TDN
/MBW
(%)
乾物
摂取
(kg)
TDN
摂取
(kg)
DMI
/MBW
(%)
TDN
/MBW
(%)
混合 639 12.6 9.2 9.95 7.30 4.2 2.6 3.32 2.07 16.8 11.8 13.27 9.37
分別 636 15.0 11.0 11.95 8.76 2.6a 1.6a 2.04a 1.27a 17.6 12.6 13.99 10.03
同時 638 13.7 10.0 10.85 7.95 3.5b 2.2b 2.78b 1.74b 17.2 12.2 13.63 9.69
注) 1. a−b:P<0.01 有意差有り
  2. DMI/MBW:代謝体重当たり乾物摂取量割合、TDN/MBW:代謝体重当たりTDN摂取量割合
  3. 試験方法:平成13年5月25日〜7月6日、3群(1群2頭)×3期(1期2週間)のラテン方格法
  4. TMR:(成分値)TDN 73.3%、CP 14.4%、DM 88.6%、(乾物配合割合)スーダンヘイ 31.5%、ビートパルプ 14.9%、綿実 0.5%、圧ぺん大麦 15.5%、圧ぺんトウモロコシ 20.7%、一般フスマ 7.2%、大豆粕 7.9%、ミネラル添加剤 1.8%
  5. ロールベールサイレージ:イタリアンライグラス(品種名:タチワセ)、出穂期刈り
(成分値)TDN 62.4%、CP 13.1%、DM 47.8%
  6. 飼養形態:フリーストール方式、搾乳1日2回(9:00、17:00)、飲水・舐塩は自由。ドアフィーダー飼槽に供試牛を張り付け、TDN要求量の110%となる量をTMR:ロールベールサイレージ=75:25の乾物割合で1日2回(9:30、17:30)給与

 泌乳成績について、各区間に差は認められません。一方、乳飼比は、分別給与区が、同時給与区および混合給与区と比べて、高くなる傾向が見られました。

表−2 泌乳成績・乳飼比

ロール
給与
乳量
(kg)
FAT
(%)
PRO
(%)
LAC
(%)
TMS
(%)
SNF
(%)
4%FCM
(kg)
乳飼比
混合 24.1 4.21 3.47 4.65 13.33 9.12 24.94 25.5
分別 24.4 4.33 3.46 4.66 13.45 9.13 25.68 30.0
同時 24.2 4.29 3.42 4.64 13.35 9.06 25.27 27.5
注) 1. FAT:乳脂肪分率、PRO:乳蛋白質率、LAC:乳糖率、TMS:全固形分率
SNF:無脂固形分率、4%FCM:脂肪補正乳量

 以上のことから、泌乳後期牛において、ロールベールサイレージ上にTMRをのせて給与すると、(1)別々に給与するよりも、ロールベールサイレージの採食量が増加する、(2)混合して給与した場合と同等の泌乳成績が得られる、ことが明らかとなりました。

3)留意点

(1)粗飼料の成分分析を行い、成分値に基づき、乳量に応じて TMR の濃度および給与量を調整する。

(2)ロールベールサイレージは発酵品質が良く、嗜好性の良いものを用いる。

(3)泌乳牛を泌乳初期、中期、後期で群分けして行う。

(4)TMRの粗濃比・撹拌時間にくれぐれも注意。

(報告者:福岡県農業総合試験場・主任技師)