特別企画

ここがポイント! 農機整備(最終回)

青 木 敬 典

 
 今回は畜舎のふん尿やたい肥の運搬などに使われている小型機械のボブキャット(写真−1)の整備について考えます。

 ボブキャットは、普通のトラクターが入れない狭い牛舎の中でも小回りが利くような設計になっています(ホイルベースが異常に狭い設計になっています)。従って傾斜地などでは不安定で、慣れないオペレーターでは乗りこなせません。

 サンプルの機械は「ボブキャット315」でここ10年近く整備らしい整備はされていないものですが、オペレーターは自分の手足のように乗りこなしており「整備するのは良いがレバーの調整はするな!」との、強い言いつけでした。

エンジン関係

 エンジンは、本体後部に位置し国産K社のディーゼルエンジンがのっており、バンパーを外して整備します(写真−2)。

 ラジエター液の交換:ドレンコックを横にすると、本来なら排出できるわけですが、なにせ10年来整備状態でしたから一滴も出てきません。こういう時は針金でコックの下から突つきます。案の定、錆と共に出てきました。当地のクーラント濃度は1:3くらいですのでクーラント0.8Lに水2.3Lを混ぜ入れました。規定量は3.1Lです。

 エンジンオイルの交換:排出用ドレンよりオイルを抜き、SF-CD 10W-30のオイルを入れます。規定量は3.1Lです。本来は、オイルフィルターも交換したいのですが、やめました。

 エアーエレメントの掃除:これがすごい状態で、「よくこれでエンジンが動いていたな、国産エンジン恐るべし!」と言いたくなるほど、ほこりが出ました。コンコンコンと叩くといつまでも出てキリがないので、コンプレッサーで内側から吹き飛ばして「これで良し」としました。

油圧・ミッション関係

 Vベルトの点検(写真−3):シートを外すと油圧ポンプとミッションを駆動しているVベルトが2本見えます。まずベルトの状態を点検します。張りが緩くなると、バケットの動き・走行がギクシャクしてきて最後には動かなくなります。

 油圧兼ミッションオイルの点検(写真−4):本体右側の車輪の間に、点検用レベルプラグ(ボルト)が2個あります。上下のレベルの間にオイルがあれば正常です。交換容量は30.1LでSE 10W-30か10W-40が指定オイルですから、ガソリン用エンジンオイルで良いことになりますが、今回は0.5L補充するにとどめました。ちなみに排出用のボルトは車体前面にあり、1000時間で交換してくださいと取り扱い説明書ではなっています。

足回りの点検

 ホイル締め付けボルトの緩みとタイヤの空気圧を点検します。空気圧の規定は3.0kgぐらいです。4本のタイヤの空気圧が一定でないと車体が不安定で直進性や旋回性能が悪くなり、危険です。

 タイヤはふん尿まみれのまま放置していると、ゴム質の劣化が早くなりひび割れなどが発生します。使用後にはきれいに洗浄してください。

その他

 グリスアップ:バケットを駆動する油圧シリンダーの両端など、全部で12ヵ所あります。バケットを上下させてニップルを見つけ出してグリスアップをし、シリンダーのオイルシール部に注油をしておいてください。

 
写真−1 ボブキャット
:グリスニップルの箇所


写真−2 エンジン部分


写真−3 油圧ミッション部分


写真−4 油圧兼ミッションオイル点検箇所

 クラッチ調整:前後進の切り替えレバーの移動量を調整するのですが、オペレーターの「さわるな」の言いつけで調整しませんでした。やり方は車体左側の車輪の間にシールが張ってあるので、参考にしてください。

 ボブキャットは狭い牛舎の中で、柵やブロック塀などに当たっても壊れずにがんばって仕事をしてくれます。感謝の念をこめて整備をしてみてはいかがでしょう。

(筆者:「農の会」会員)