特別企画

ここがポイント! 農機整備(1)

青 木 敬 典


 畜産農家の皆さんは、家畜の飼養管理からたい肥処理まで、年中休む暇がないのが現状で農業機械の点検・整備にまで手が行き届かないのではないでしょうか。

 しかし、畜産経営の安定を考えた場合、農業機械にかかる費用(修理代を含めて)を低減することは極めて重要なことと思われます。

 そこで、今回から6回に分けて、畜産農家で使われている農業機械について、故障しやすい個所を中心に、その点検方法や知っておいてもらいたい基礎知識について考えてみたいと思います。

 さて、今回は第1回目ということもあり、一番身近で基幹となる農機である「トラクター」について考えます。トラクターは普通に使っていれば、まず壊れません。壊れやすいのはトラクターに装着する作業機です。トラクター本体は、ラジエター液・オイル・燃料を常に点検していれば大丈夫です。

 トラクター本体の基本整備は以下のとおりです。

1.ラジエター液のクーラント濃度と交換時期
 クーラント液は防錆効果もあるので、定期的(3年ぐらいごと)に交換して下さい。その際、その土地での最低気温に合わせたクーラント濃度にすることがたいせつです。

2.オイル類の粘度と交換時期

 エンジンオイルはSF-CDの10W-30、ミッションオイルはGL-3の#80か80W-90を基準にその土地の最低気温で判断してください。交換時期はエンジンオイルが2〜3年間隔で稼働時間に応じて行ってください。ミッションオイルは新車から3年目ぐらいには最初の交換をして下さい。その時にオイルフィルターの交換もします。

3.不良燃料は故障の原因

 燃料を保管している容器(ドラム缶等)の底には水や錆が溜まるので、それを給油しないように注意して下さい。また、軽油は夏用と冬用があるので、夏用のものは冬季になる前に灯油を混ぜておきます。

 この基本事項さえ点検していれば、バッテリーやタイヤ等の消耗部品は別にして、4〜5年で「埋め立てゴミ」になることはありません。しかし、20〜30年と使うには、つぎのことに留意してください。畜産農家で使われているトラクターはふん尿の中でのたち回ることが多いので特に重要です。

1.エンジンのオーバーヒートを起こさないための注意点
 (1)ファンベルトの張りやベルトの劣化状況を点検する。
 (2)ラジエターのコア部分や防塵カバーのほこりなどを定期的に掃除する。特に牧草作業時は毎日行って下さい。

2.エアクリーナエレメントの掃除

 取外しや装着時にゴミをエンジン内に入れないように注意しながら行ってください。

3.ブレーキ(油圧式以外)・クラッチペダルの遊び調整

 特に片ブレーキを使う作業をすると左右のブレーキの遊びが狂ってくるので、こまめに調整しないと事故につながります。また、ペダルのシャフトやロッドの長さ調整部分が錆付きやすいので、こまめに清掃してグリスアップと注油をして下さい。

4.トラクター後部のリンク部分の注油

 リフトロッド・トップリンク・チェックチェンの長さ調整用ターンバックルのねじ山とPTO軸へグリスアップや注油をします(写真−1)。いろいろな作業機を付替えて使うことの多い牧草作業では、トップリンクやロアリンクの調整が必要になります。錆付いていて無理に力を入れたら、工具がすべって手にケガをしたりしたら、笑いごとではすみません。

5.前輪ホイールの裏側(前輪ハブオイルシール)からのオイル漏れのチェック

 定期的に前輪を外して点検すればよいのですが、ここは洗浄しづらく泥やふん尿がこびり付きやすいので、オイル漏れに気づくのが遅れるので注意が必要です(写真−2)。

6.燃料フィルターの掃除

 カップ部分にゴミや水が溜まっていたら分解して掃除をしてください。これが噴射ポンプ内に入ると故障します。組付け時はエア抜きが必要です(写真−3参照)。

 以上、私の経験から必要と思われることを列挙しました。これを参考に所有するトラクターの点検を行ってください。

(筆者:「農の会」会員)