強制横断換気で快適牛舎に

前 田 浩 貴

 
 牛舎の環境を快適に保つ大きな要因の1つに「換気」があります。

 いわゆるトンネル換気では、ファンと空気流入口は牛体の高さに合わせて設置し、牛体に風を当てなければなりません。しかし、牛舎内に処理室や事務所があり、入気口が制限されている場合も多くあります。

 そこで今回は、そのような農場でも取付け可能な「強制横断換気」という方法を紹介します。

 A農場の場合は、つなぎ対頭式牛舎(写真−1)で、処理室と飼料調製場所が牛舎内にあります。片側は、1.8mおきに窓があり、もう片方は、50cmおきに窓があります。

 経営者はトンネル換気で壁を壊してファンを設置したくないという希望があったため、1.8mおきにある窓にファンを取り付け(写真−2)、50cmおきにある窓を入気口にしました(写真−3)。

 飼槽側の風速を3頭おきに測定した結果が、図−1です。

(1)は、入気口のサッシをすべて取り外した場合の風速

(2)は、入気口のサッシを半分開けた場合の風速

(3)は、入気口の上半分をふさいだ場合(写真−4)の風速です。

 (2)の場合には、風は、スムーズに飼槽側に流れず、途中で巻き上がっていました。(3)の場合は、飼槽側にスムーズに流れ、風速も一番強くなりました。牛舎内にまだある隙間をふさげば、さらに風速は強くなるでしょう。

 入気口側は、風速が強いので、暑熱ストレスを受けやすい状態の乳牛(乾乳後期から泌乳ピーク)を優先的につなぎ、風速の弱いファン側には、泌乳後期の牛や乾乳前期の牛をつなぐのも1つの方法です。

 強制横断換気は、通常のトンネル換気では、入気口がうまく取れない場合に採用できる方法ですが、ファンの台数は、多く設置しなければなりません。また、事例農場のように入気口側の窓の間隔が狭く、ほとんど連続的に開放部分がある場合にのみ、スムーズな風の流れができると思います。入気口の窓の間隔が広く、連続した開放部分が取れなければ、牛舎内の風の流れにもムラができるでしょう。

 
写真−1 つなぎ対頭式牛舎


写真−2 1.8m間隔の窓に取付けたファン


写真−3 50cm間隔の窓を入気口とした

写真−4 上半分をふさぐことによって風速が上昇する


図−1 牛舎内部の風速測定結果


(報告者:北海道十勝中部地区農業改良普及センター・専門普及員)