牛群検定をもっと生かすために(III

── 検定成績を有効に活用して経営の充実を図る ──


川 井 倫 次

 前回までは、牛群検定の役割の中で最も重要な生産管理機能と利益コントロール機能について説明しました。しかし、現実はこれらの機能がじゅうぶんに生かされていないことが証明されるような事態が起こっています。1つ目は、繁殖成績(分娩間隔)が年々悪くなっていること。2つ目は、1頭当たり乳量の伸びのうち飼養管理による改善量が停滞していること。3つ目は、搾乳モト牛(後継牛)の生産対策がじゅうぶんでないことなどです。これは今後の生乳生産対策としても見逃すことができない重要問題です。

 したがって、今回は検定データ活用方法について紹介してみたいと思います。

 検定成績表の読み方

 牛群検定農家には毎月、検定終了のつど、四半期に1回、半年に1回などたくさんの検定情報が送られてきます。主なものは次のとおりです。

検定成績表 ― 毎月
繁殖管理表(アクションシート)― 毎月
検定終了通知書 ― 検定終了のつど
検定終了牛成績一覧 ― 四半期に1回
検定成績集計表 ― 四半期に1回
牛群改良情報 ― 半年に1回
生乳生産予測情報、その他
  ― 都府県分析センター経由の情報

 これらの情報のうち、最も基本となるものが検定成績表です。

 酪農家は、確かに乳量、乳成分率、体細胞、繁殖情報等はかなり利用しています。しかし、その読み方は断片的で単なる結果論として、数字の羅列としか見ていないように思われます。なぜ、こういう数字になっているのか、どうすれば改善できるのか、そこまで突っ込んで議論するところまで至っていないのです。

 そして、もう1つ重要な点があります。それは繁殖情報(「年間管理情報」の欄)の読み方です。例えば、平均分娩間隔、平均空胎日数等の繁殖情報は、実は結果論であるということ。すなわち、1〜2年前の栄養管理、繁殖管理の結果として、この数字が出ているのであって、必ずしも現在の繁殖状況をそのまま反映しているものではありません。

 それでは現在の飼養管理状況をリアルにみるにはどうすればよいか。これができなければ改善策など立てることはできません。要はこの現状分析をどのように行うかが、検定活用の重要性です。そして、この現状分析を行うためのデータが「個体の成績」欄の数字です。この成績を単なる個体としての情報だけでなく、牛群全体の情報として利用できるよう加工すればよいのです。すなわち、データとデータの組合せ、配列、並べ替え、図表化・グラフ化等、もっと工夫して活用しやすくすればよいのです。

 分析ソフトを活用して経営の充実を

 このような考え方で、検定成績分析ソフトを開発しました。この分析ソフトは既に家畜改良事業団の冊子等で紹介していますが、再度、この誌面に載せます。いくつかの都府県でも使っています。

 この分析ソフトの帳票は次のように5枚のシートからなっております。

検定日成績検討表の出力結果例

(1)P1:検定日成績検討票


分娩後日数順に並び替えて、泌乳ステージに応じた飼養管理ができているかどうかを総合的に検討する。見やすくするための図表化、判断しやすくするために数値の配列と再計算をしてある。

(2)P2:牛群の泌乳曲線


分娩後日数と乳量を泌乳曲線で示し、初産と2産以上に分け、そのパターンをみて分析する。更に、分娩後日数と濃厚飼料給与量との関係等もあわせて検討する。

(3)P3:乳成分に変動


分娩後日数と乳成分率(F%、P%)、P/F値、相互バランスの変化をみて、栄養管理の状態および繁殖との関係を判断する。

(4)P4:産次別乳量分析


牛群を産次別に分解して、それぞれ実乳量(期待乳量)と補正乳量(年齢6才に換算した乳量)を比較して、牛群改良の進み具合、3〜4年後の見通し等を判断して、改良の対応方法を考える。

(5)P5:繁殖の分析、体細胞の分析


繁殖情報をより具体的に分析し、発情発見効率、受胎率、妊娠率等を示し、効率的繁殖管理を実現する。また、繁殖遅延による損失乳量を概算する。

 体細胞を産次別に分析し、乳房炎感染の状態を判断し予防対策を考える。また、潜在性乳房炎による損失乳量を概算する。

 以上5枚の帳票の中から、ここでは誌面の都合もありますので、P1−検定日成績検討票だけしか紹介できません。

(筆者:社団法人家畜改良事業団・非常勤相談役)