製材加工木端でオガクズを製造、
牛に愛情を注いでいます!

角 橋 則 孝

 家畜ふん尿をたい肥化する主役は好気性微生物の活動です。その微生物を活性化させるための必須条件となるのが栄養、空気、水分、温度などです。彼らが能力を発揮しやすい好条件を与えてやらないとたい肥化が進まなくなってしまいます。

 たい肥化する家畜ふん尿を適正な水分(70%前後)に調整し、空気の取り込みやすい条件にしますが、身近な水分調整材として「オガクズ」が使われています。

 しかし、畜産農家が安価で安定的に入手することはなかなか難しいようです。

 ならば、「製材加工木端を使ってオガクズを作り、オガクズをふんだんに投入して良質なたい肥を作ろう」と上州一のアイデアマン?肉用牛農家の岩久保牧場小倉基さんのオガクズ作りへの取組みを紹介します。

◆オガクズ製造機の導入のきっかけ

 約20数年前、常勤の雇用者を1名採用しましたが、どうしても朝・晩の飼養管理が中心となってしまい、1日の継続的な作業体系がとれていませんでした。また、当時は月に2tダンプで4台ものオガクズを購入(1台2万円前後)し、敷料として使用していましたので「何とか雇用者の継続的な作業体系とオガクズの確保を両立できないものか」と考えていました。

 そんな折、知人の大工さんから製材加工木端を入手できることが判明、オガクズの製造機を導入しました。そして毎日、雇用者が木端約3m3程度をオガクズに製造し、1日で使い切っています。オガクズは販売できるくらいの良質なもので、酸素供給しやすい性状になっているため、愛牛の踏み込みの支援が得られやすくなっています。

 オガクズ製造の採算性については、「オガクズの安定的な確保とたい肥生産のための水分調整材が安全かつ品質を一定に維持できることが一番のメリット。採算性の細かな検討はしていないが、じゅうぶん元は取れているだろう」とのことです。製造したたい肥は耕種農家や家庭菜園をされている方々からも人気があり、今では供給が追いつかないくらいの人気商品です。

 たい肥の製造工程は、踏込み牛舎にふんだんな自家製造のオガクズを使用し、たい肥舎できめ細かな切り返しを行っています。また、使い手側の要望に添うよう、ステージごとのたい肥ニーズに対処しています。しかし、ニーズによっては、たい肥の貯留日数が最大1年を要するものもあるため、たい肥の一時保管庫舎(移動式たい肥舎約45万円/1棟)を作って保管するなど、品質面だけでなく販売面でも、工夫をしています。

◆オガクズ製造機にかかるコスト

購 入 額 6,000千円 (1999年導入)
維持経費(電気代)  60,000円/月(基本料込み)
(4年程度で鋸刃を交換
:費用 約60万円)
木工廃材購入額  無料
その他経費 専属雇用  約3万円/月

◆経営の概況

1968(S33)年 乳雄スモ−ル20頭を導入、現在肥育牛220頭

主要な機械・施設

肥育牛舎5棟、子牛舎1棟、豆腐粕置き場、オガクズ製造機、たい肥切返機3台、たい肥運搬車3台(軽、2t、4t)、たい肥袋詰機、たい肥舎500m2、たい肥舎(移動式)6棟

従事者

基幹労働力 3人、うち常勤雇用1人・臨時1人
 
写真−1  オガクズの仕込みに使用する製材加工木端


写真−2  オガクズ製造機、現在は4台目を使用中

写真−3  オガクズの性状

写真−4  古電柱を活用したたい肥舎
(幅3.6m×奥行5.4mの10枠)

写真−5  移動式たい肥舎
柱が地面に固定されておらず、コンクリートを詰めたドラム缶に、柱の末端をボルト止めしただけのもの


(報告者:(社)群馬県畜産協会・畜産コンサルタント)