モーツァルトの街で、牛がもーとなくと……

川 崎 広 通

 平成12年9月、海外畜産事情研修(地方競馬全国協会補助事業)時にオーストリアのドイツ国境近く、ザルツブルグ市街を探索中に、いろいろと趣向を凝らした牛たちを町中で発見しました。最初は1頭だけだと思ったのですが、街角を曲がるとまた1頭、上を見上げればまた1頭と出てきます。

 あの天才作曲家モーツァルトを生んだ音楽の都であり、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台としても有名な観光地ザルツブルグとは思えないほど、いたるところに牛がいました。前日の研修で山岳酪農家を訪問し、多くの乳牛をみていたので、きょうは休日、畜産と離れて息抜きしようとしていた矢先の遭遇でした。

 今回紹介するのはたくさんいたユニークな牛の中のわずか3頭です。まず写真−1は品種名“お食事あか牛”です。テーブルクロスにシャンパンとナイフ、フォークセットを携えています。牛と一緒に晩餐とは洒落たものです。次に写真−2は品種名“逆立ち金牛”です。いつ落ちてくるかと心配でしたが、全身金色でネックレスとブレスレットで着飾った金持ち牛です。最後に写真−3は品種名“慈善黄金牛”です。みんなのために寄付金を集めている貯金箱牛です。

 このように、オーストリアの観光名所として人気が高いザルツブルグは城壁や大聖堂、教会といった伝統ある建物と自然の産物である“牛”との組合せで、大変調和がとれた都市でした。人間の創った文化と大自然を活かした畜産業のバランスを考えた1つの街おこしのアイデアかなと思いました。

※品種名は全て筆者が勝手に付けた名称です。

 
写真−1 シャンパンを担ぐ“お食事あか牛”


写真−2 ビルの壁面を歩く“逆立ち金牛”


写真−3 お金を集める貯金箱の“慈善黄金牛”

(報告者:熊本県畜産会・総括畜産コンサルタント)