堆肥化処理計算システムを利用してみませんか!

塩 原 広 之

1. はじめに

 堆肥化施設を計画するうえでの最大のポイントは、設置する施設が当初の予定通り能力を発揮でき、安定した良質な堆肥を作れるかどうか、ということです。しかし実際に施設を作ってみると、当初の目論見どおりに行かないことが多いのも現実です。その原因には、施設へのふん投入量が増えたのにそれに対応した能力がない場合、経営条件が変わってふんの水分が増加したにもかかわらず投入時水分の調整が不十分で、順調な発酵が行われなくなった場合などいくつか考えられますが、最も注意しなければならないのは施設の能力が設置当初から不足している場合です。たとえば開放型施設での堆肥化の過程を考えてみると、発酵による以外の堆肥表面からの水分蒸発が非常に大きいわけで、安定した堆肥を生産するためには施設にある程度の面積が必要なことは明らかですが、畜舎用地に余裕のある経営はほとんどないため、堆肥化施設を小さい面積に無理に押し込めようとする傾向があります。また、利益につながらない堆肥化施設の建設費には金をかけたくないという意識がどうしても働きがちで、建設費の多くを占める建屋の面積はできるだけ小さくしたい、と考えるのは無理もないことかもしれません。しかしこのようにして作った施設は、性能が計画どおりに発揮できない場合が多く、せっかく大金をかけて作った施設にさらに追加投資を行わざるを得ず、「環境対策費」の負担がさらに重さを増してしまった例も見受けられます。

 そこで筆者は、(財)畜産環境整備機構が実施している「畜産環境アドバイザー養成研修」を踏まえ、パソコンによる堆肥化処理計算システムを作成しました。そのねらいは、適正な堆肥化施設を計画するための参考資料にすること、簡単に堆肥化の仕組みを学べることの2点です。なお、システムの作成にあたっては「畜産環境アドバイザー養成研修会資料【堆肥化施設の設計・審査技術研修】(財)畜産環境整備機構」を参考にしました。

2. 必要なパソコン

 このシステムは Microsoft Excel 97とこれに付属したVBAを用いて作成しています。ですから、このシステムを動かすためには、Microsoft Excel 97 以上が動作するパソコンが必要です。

3. システムの概要

 図−1がシステム起動後最初に現れるメニュー画面です。この画面では、堆肥化方式、処理対象家畜を選択し、飼養頭羽数を入力して、次にコマンドボタンで「詳細設定」あるいは「結果検討」画面に移ります。保存ボタンを押すと“経営体名”.xlsでファイルが作られます。

図−1 初期メニュー画面

 図−2は堆肥舎および開放型の場合の「詳細設定」画面です。計算に必要となる設定項目値を入力、あるいは選択していきます。また、「参照」ボタンを押すとその項目に関連する値が表示され、それを参考に数値を入力していきます。入力し終わったら「結果検討」画面に移ります。

図−2 開放型の詳細設定画面

 図−3は堆肥舎および開放型の場合の「結果検討」画面です。必須入力項目として「堆積高」を入力し、また必要ならオプション入力項目「滞留日数」、「発酵槽面積」、「乾燥床面積」を入力して「計算」ボタンを押すと、計算結果が「必要量」および「結果検討表」に表示されます。再度設定を行う場合は「詳細設定」ボタンを、印刷する場合は「結果表印刷」ボタンを押します。

図−3 開放型の結果検討画面

 図−4は密閉型の「結果検討」画面です。必須入力項目として「発酵槽容積」を入力し、また必要ならオプション入力項目「滞留日数」を入力します。また「発酵槽容積最適値」に堆肥の目標水分を入力すると、必要な発酵槽容積が、MicrosoftExcelのソルバー機能により求められます。

図−4 密閉型の結果検討画面

 図−5は堆肥舎および開放型の計算結果表の出力画面です。この画面にはそれぞれの項目の計算式も示してあり、段階的に堆肥化の仕組みを追うことができるようになっています。

図−5 開放型の計算結果表

4. システムの配布

 このシステムはフリーソフトとして配布しています。興味のある方は次のURLにある筆者のホームページからダウンロードしてください。

URL:http://www.ne.jp/asahi/hshio/biz/index.html

(報告者:(社)群馬県畜産協会・統括畜産コンサルタント)

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