『ヒイラギで牛の皮膚病予防?』

宮 崎 美 伯

 フランス中部地方にある酪農家を訪問した時のこと。牛舎の天井からなにやら怪しい物体がたくさんつり下がっていました。経営主に「あれは何ですか?」と聞いたところ、「牛の皮膚病によく効くんだよ。 皮膚病が多い夏期は青々とした葉をつるしておくんだけど、今は枯れちゃってね」という答えでした。

 “果たしてヒイラギが本当に皮膚病予防に効果があるのか”と疑問に思い植物大辞典を調べてみました。

 ヨーロッパでよくみられるのは『西洋ヒイラギ』でこれはケルト人の聖木であり、生木を火にくべたりすることは禁じられています。また冬の間、緑を保つこの枝で家の周囲を飾り、森の精霊を迎える習慣がありました。


牛舎につるしているヒイラギ

 ヒイラギといえば誰でも思い出すのが、クリスマスのリース飾りですが、あの風習はキリスト教由来であると言われています。冬の間でも緑を保っているヒイラギは『永遠の生命の象徴』、赤い実は十字架上のキリストから落ちた血がこの実を染めたともいわれています。

 しかし、薬効についての記載は特にありませんでした。読者の方でご存じの方がいらっしゃれば、逆にお教え願いたいと思いますが、この飾りは、魔除けや縁起かつぎの風習の一つではないのでしょうか。

 本例が本当にこの風習に従ったものかどうかは今になっては確かめようがありませんが、以前長崎県の離島の肉用牛繁殖農家を訪問した時にも、牛舎の中にお守りのお札があちこちに貼ってあったのを思い出しました。

 家畜は人の食料にされるために、その短い一生をおくる運命を背負っています。自分たちの食料になる家畜を大事にする気持ちは、万国共通なのだとあらためて知らされました。

 西洋ヒイラギの花言葉は『家庭円満』です。もし家庭に冷たい木枯らしが吹いているような方がいらっしゃれば、庭にこの木を植えてみたらいかがでしょうか。

(報告者:群馬県西部家畜保健衛生所衛生課課長代理)