おらが故郷の経営自慢

女性パワーが支える淡路の和牛生産

 

─あわじ和牛愛好婦人友の会の取組み─

 

西 野 良 三

 
 

は じ め に

 今、牛肉の輸入自由化に加えて、経済不況の波に和子牛の市場価格は低迷を続けています。こんな時こそ原点に戻って基本技術を見直し、組織ぐるみで産地の活性化を図ろうと頑張っているグループがあります。
 兵庫県淡路島の和牛産地を支える婦人部組織「あわじ和牛愛好婦人友の会」の活動の一端を紹介します(図−1)

  


 

1.組織化の契機

 
 「奥さん、和牛を6頭飼って10万円の月給取りになりましょう!」こんなキャッチフレーズで淡路の和牛の増頭を図ろうとよびかけられてから、かれこれ20数年が経ちます。北淡路地域における繁殖和牛経営は、実質的に女性が従事する農家が増え、その担う役割も年々大きくなってきました。そのような背景のなか、平成元年に牛肉輸入自由化打倒と和牛産地の活性化をめざした担い手組織として「あわじ和牛愛好婦人友の会」は設立されました。


図―1 淡路島位置図

  


2.組織の概要

 


淡路島


 津名郡内の6町に洲本市の一部を加えた地域を対象とする、従来にない広域的な組織となった友の会は、当初56名の会員でスタートしました。年々会員は増えて、現在(平成9年度)では78名になっています。メンバーは40歳代が中心の若手で構成され、会員全体が飼養する繁殖母牛頭数は 816頭にのぼり、平均は10.4頭と多頭で、女性が経営の主力となっているのが特徴です(別表)。


別表 地区別にみた会員の飼養状況(平成9年度)

 


3.組織の運営

 
 役員会は会長1名、副会長2名、会計1名、監事3名の7名で構成され、日の出農協畜産事業部に事務局を置き、関係機関・団体と連携しあい、例会を通じて活動のすすめ方などを検討しています(図−2)。



図―2 あわじ和牛愛好婦人友の会 連携図


 



 

4.活動の概要と成果

 活動内容は、総会、講習会、共励会、地区研修会、視察研修などのほか、「ミートフェア」や「淡路牛まつり」といった地元畜連が開くイベントへの参加が主となっています。

(1)母牛の能力把握

 繁殖農家にとって経営の必須条件は「1年1産」と「子牛の高値販売」ですが、友の会では(連産性に優れ、子育ての上手な)母牛の選定に役立てるために共通の繁殖台帳を作り、母牛の生涯記録を残す個体別台帳として整備しています。とくに分娩間隔や子牛の発育、市場価格比などを数値化して、個別に牛の特徴を把握し、経営の内容が一目で確認できるように努力しています。
 現在、母牛の持つ産肉成績についての情報はあまり多くありませんが、繁殖・哺育能力に加えて、販売した子牛の枝肉情報についても関心を寄せて、産肉能力も含めて母牛の能力が把握できるように努めています。
 

(2)基本に忠実な飼養管理の実践

 現地研修や講習会では、繁殖生理にあった飼料給与やお産の対処法、子牛の別飼いなどといった基本的な技術を中心に勉強を重ねています。こうやって得た知識を基に、飼料診断による給与飼料の検討を行ったり、子牛専用室を設けて定期的に測尺したりしてチェックしている会員もおります(写真−1、2)。
 一つひとつの基本的な管理を忠実に実践してきた結果、子牛の安定した発育が得られ、販売価格も市場平均を上回り、市場価格比もしだいに上昇してきました。
 

(3)繁殖経営共励会

 地区研修会では、個体別台帳をもとに1年間の経営成績をまとめ、自己の経営を自分たちで評価し合うことで、経営改善に役立てています。この中から成績(総合評価と生産率)優秀な会員を表彰する機会として繁殖経営共励会を開催しています。
 

(4)産地間交流

 美方郡(但馬地域)の婦人部との交流の他、近年、有望な肉用牛振興地域として注目される北海道との産地間交流も積極的に行われており、ホームステイや意見交換会などを通じて子牛の販路拡大に貢献しています。
 

(5)消費者との交流

 平成5年、婦人部が主体となり和牛生産者総決起大会を挙行。これが契機となり牛肉消費者にも目を向けるようになり、ミートフェアや牛まつり開催時に和牛の生産過程や淡路ビーフのPRを行うなど、消費者の理解を深めるために積極的に交流を図っています(写真−3、4)。

写真―1 現地研修会 写真―2 講習会
写真―3 視察研修 写真―4 消費者との交流


5.今後の課題と方向

 
 友の会組織として当面取組んで行かなければならない課題の方向は、

 @若手会員の加入を推進するとともに、会員相互の技術格差をなくし、高位平準化を図る。また基本的な管理技術が励行できるよう、研修会の充実を図る。

 A活動のマンネリ化に陥らないよう、他の事例も参考にして、一層の組織活動の充実強化に努める。

 B出荷子牛の斉一性を図り、落ちこぼれ(平均以下)をなくすよう努力する。

 C産肉成績についての情報収集に努め、購買者のニーズにあった子牛生産に努める。

 D経営安定と地域の和牛振興のために、可能な範囲内で多頭化を図る。

 Eより一層積極的に経営参画できるよう、記帳記録を励行し経営収支の把握に努め、経営感覚の習得に努める。

 


お わ り に

  友の会も発足から早いもので9年目を迎えました。部会活動のメリットである《地区間の交流を通じて情報交換を行うことで、いろいろな事柄が学びとれること》と《女性ならではのキメ細やかな管理と子育てを通じた経験を活かし、仲間と共に頑張りたい》との共通の思いを抱いて、10年目に向けて新たな意欲をかきたてています。淡路の和牛産地の一翼を担う女性たちへの期待は、ますます高まっています。
 

(報告者:兵庫県畜産会総括畜産コンサルタント)

 

 本文は、兵庫県経済連が発行する「畜産兵庫」に掲載された文章を執筆者の了解を得て再録したものです。なお、転載にあたっては原文を一部修正しています。