ヨーロッパ畜産、見て、聞いて、触れて(最終回)

 

梶 尾  規 一

 

<家畜のパスポート>

 ’96年3月にイギリス政府が、狂牛病が人間に感染する可能性があるとの発表を行って以来、わが国では、該当する畜産物等の輸入禁止措置を執ったりでおおわらわでした。今回の訪問国では影響が深刻で、牛肉の消費が40%落ち込み、価格も30%低下しました。EUでは、牛肉を買い上げて冷凍保存したり、出荷に際して助成金を出していますが、焼け石に水というところです。
 現在、EUでは、牛に生産国、生産者の分かる耳標を装着しています(写真−1)。同時にいわゆるパスポート(出生証明書)が発行され、出荷・移動等に際して携行が義務付けられています(写真−2)。



  

    写真−1 牛に生産国、生産者の分かる耳標を装着       写真−2 パスポート(出生証明書、出荷・移動等
                                      に際して、携行が義務付けられている)


 この制度は生産者にとって負担でありますが、消費者が肉の購入に当たって気にする生産地を明示して、狂牛病のおそれのないことをPRする一助となり、商品の差別化を進める一環といえます。
 ところでEU域内は人間の世界ではパスポートの携行が必要なく移動できる方向に動いていますが、農畜産物の世界では逆行し、パスポートが必要になっていることは興味深く印象に残りました。



(報告者:静岡県中部農林事務所畜産振興課長)

 


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