養豚一貫経営の収益動向とその要因
 

西野松之( 日本大学生物資源科学部生物資源生産実習センター)


 

1. 収益動向の分析

 分析の対象とする資料は、平成8年度および平成9年度に都道府県畜産会が畜産経営技術高度化支援指導事業の中で対象とした経営診断・指導事例の中から、調査期間が1年間で個別経営の収益性・技術に関する基本的な数字が把握されている事例である。したがって、養豚経営の全体の平均値を代表しているものではない。なお対象経営は各年度内に決算期をむかえたものである。

(1)対象経営の集計件数と地域

表1:対象経営の地域分布

地域

 全体 

北海道

 東北 

 北陸 

関東・東山

 東海 

近畿

 中国 

 四国 

 九州 

 沖縄 

平成8年度
集計件数

92

0

19

11

25

10

0

0

21

6

0

%

100.0

0.0

20.6

12.0

27.2

10.9

0.0

0.0

22.8

6.5

0.0

平成9年度
集計件数

104

0

17

11

23

9

0

0

24

20

0

%

100.0

0.0

16.3

10.6

22.1

8.7

0.0

0.0

23.1

19.2

0.0

[1]対象経営は平成8年度92戸、平成9年度104戸で、関東・東山、四国、東北が多いが、9年度は九州が多くなった。
[2]北海道、近畿、中国、沖縄は集計がない。 

(2)対象経営の概要

表2:経営の概要
 

平成8年度

平成9年度

集計件数

92

104
労働力

労動力員数(人)

2.2

2.4

うち家族員数(人)

2.0

2.1
飼養頭数

種豚

雌(頭)

77.8

86.5

雄(頭)

6.6

6.8

候補豚(頭)

9.3

7.2

子豚(頭)

219.7

251.0

肥育豚(頭)

587.9

654.0
出荷頭数

子豚(頭)

17.6

19.5

肥育豚(頭)

1,381.0

1,559.0

候補豚(頭)

8.0

8.0
種雌豚1頭当り子豚出荷頭数

0.23

0.23
種雌豚1頭当り肥育豚出荷頭数

17.8

18.0

[1]9年度は8年度に対して労働力員数が0.2人増加した。また雇用労働員数は0.1人増加した。
[2]種雌豚平均飼養頭数は8年度77.8頭、9年度86.5頭で11.2%増加した。
[3] 候補豚を除いた、子豚、肥育豚の飼養頭数および出荷頭数は10%以上増加した。
[4]種雌豚1頭当たりの子豚出荷頭数(0.23頭)に変化はないが、肥育豚出荷頭数は8年度17.8頭、9年度18.0頭でやや増加した。


  

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