ところで、わが国における近年の酪農経営の収益動向は表1-7にみるように、収益性は平成2年をピークとして、平成9年までの間に大幅な低下を示している。搾乳牛1頭当たりの粗収益額が平成2年の73.0万円に対して、平成9年には68.6万円へと6.0%の減少を示している。一方、生産費総額は近年増加傾向を辿っており、平成9年には66.8万円となっている(平成10年に大きく増加したのは、家族労働費の算出方法を男女同一評価に改正したことが指摘できる)。

表1−7 酪農経営の収益性推移(全国)

(単位:円、時間、%)

項   目
昭和 平成
56年 57 58 59 60 61 62 63 元年 2 3 4 5 6 7 8 9 10 対前年比





粗収益(1)

591,323

597,967

623,930

635,310

644,615

667,746

670,684

676,167

707,550

730,404

668,335

673,583

683,367

673,417

681,429

693,524

686,621

686,421

100.0

生産費総額(2)

592,802

614,268

621,470

635,685

632,988

624,798

602,484

600,749

609,285

623,120

617,518

647,633

653,701

653,957

633,910

654,846

668,179

690,264

103.3

利潤(3)=(1)-(2)

▲1,479

▲16,301

2,459

▲ 375

11,627

42,948

68,200

75,418

98,265

107,284

50,817

25,950

29,666

19,460

47,519

38,678

18,442

▲3,843

-

家族労働費(4)

146,108

152,090

153,716

153,608

152,800

155,192

149,495

150,371

152,526

152,893

155,200

175,495

171,859

170,927

182,420

184,636

188,110

201,041

106.9

家族労働以外の
生産総額費
(5)=(2)-(4)

446,694

462,178

467,755

482,077

480,188

469,606

452,989

450,378

456,759

470,227

462,318

472,138

481,842

483,030

451,490

470,210

480,069

489,223

101.9

家族労働報酬
(6)=(1)-(5)=(3)+(4)

144,629

135,789

156,175

153,233

164,427

198,140

217,695

225,789

250,791

260,177

206,017

201,445

201,525

190,387

229,939

223,314

206,552

197,198

95.5

所得(7)

193,482

185,420

205,845

203,330

214,600

248,246

269,635

277,638

302,084

312,011

254,613

237,184

237,539

225,515

261,626

255,158

238,029

227,980

95.8

家族労働時間(8)

165

162

158.6

154.3

149.8

148.6

141.8

140.0

137.6

133.2

128.6

127.2

120.7

117.1

124.5

122.49

120.78

117.32

97.1

1日当り家族労働報
酬(9)=(6)/(8)*8

7,012

6,706

7,878

7,945

8,781

10,667

12,282

12,902

14,581

15,626

12,816

12,669

13,357

13,007

14,769

14,585

13,681

13,447

98.3

所得率
(10)=(7)/(1)*100

32.7

31.0

33.0

32.0

33.3

37.2

40.2

41.2

42.7

42.7

38.1

35.2

34.8

33.5

38.4

36.8

34.7

33.2

-


資料:農林水産省畜産局畜産経営課編「畜産経営の動向」平成11年、中央畜産会
  (注)[1]牛乳生産費調査は平成4年より家族労働の評価、固定資産の減価償却費等について改定が行われた。
     [2]平成10年より家族労働費の算出方法を、それまでの男女別評価から男女同一評価(当該地域で男女を問わず実際に支払われた平均賃金による評価)に改定した。


 こうしたことから搾乳牛1頭当たり所得は平成2年の31.2万円をピークとして減少に転じ、平成9年には23.8万円へとこの間23.7%もの大幅な減少を示した。1日当たりの家族労働報酬も平成2年の15,626円をピークとし、平成9年には13,681円にまで低下している。所得率も、昭和62年から平成2年まで4年間連続して40%台の水準を維持していたが、平成3年以後は30%台に低下し、平成9年には34.7%となっている。
 このように近年の酪農経営の収益性を統計面から概観すると、平成2年までの収益性の向上の実績とは逆転し、平成3年から実施された牛肉自由化などの影響を受けて、平成3年以降は収益性の低下傾向が続いたといえる。


  

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